ロケットマン

ロケットマン “Rocketman”

監督:デクスター・フレッチャー

出演:タロン・エガートン、ジェイミー・ベル、リチャード・マッデン、
   ブライス・ダラス・ハワード、ジェマ・ジョーンズ、
   スティーヴン・マッキントッシュ、トム・ベネット

評価:★★★




 初めて楽曲をリリースしたのが1968年というから、デビューしてから50年経つのか。だからなのか、近年はショービズ界のご意見番みたいな雰囲気もあるエルトン・ジョンの音楽が再注目されている。ベストアルバムが発表されたのに続き、今を代表するシンガーたちによるトリビュート・アルバムが話題を集めた。そして今度は映画『ロケットマン』だ。どの企画も今の彼が関わらなくても成立するプロジェクトながら、彼が積極的に仕掛けているようにしか見えないのが可笑しい。

 稀代のエンターテイナーの積極的な映画介入は諸刃の剣でもあるはずだ。何しろ物語は親の愛を受けられなかった幼少期から始まり、音楽に救われ、世界に認められ、けれどそこから堕ちていく様を描くという、ミュージシャンの伝記物にありがちなものに終始。そこに来てやたら主人公に同情的な物の見方がなされるとするなら(案の定、「孤独」が取り上げられる)、いかに詳しいエピソードが語られようと白けてしまうだろう。

 ところが、これが案外、カラッと明け透けな語りだから驚く。隠し事はしないとばかりにアルコールやドラッグに溺れる様を赤裸々に見せるし、その傲慢さや愚かさにもあっけらかんと向き合う。両親や敏腕マネージャーが一面的な悪役に見えるのはさすがに問題であるものの、だからと言って天才をかばったりしない。エルトン・ジョン、意外や心が広いのか!?

 これはもう推測でしかないのだけれど、自身役にタロン・エガートンを起用できたことで、御大にも心の余裕ができたのではないか。エガートンは「SING シング」(16年)で響かせた美声で度肝を抜いた才能の持ち主であり(しかもジョンの楽曲を披露)、演技者としても伸び盛りだ。御大のことだから自分とは似ても似つかぬヒュー・ジャックマン系ハンサムでも選ぶのではないか…なんて危惧が杞憂に終わったことにホッとする。

 もちろんエガートンは御大の期待に応える。楽曲毎に歌唱力・表現力で圧倒するのはもちろん、きびきびした身体の動きも気持ち良い。加えて、可愛らしいのだ。所謂二枚目とは違うエガートンながら、ど派手なパフォーマンスに美しくハマり、孤独の闇に足をすくわれてもなお、愛敬を失わない(面白メガネの数々が効いている)。そうか、御大は格好良さよりも可愛らしさを選んだのか。正しい選択だ。飽きないもの。

 それにしてもこの天才シンガーは分かり易い人物だ。この映画だけで、彼が誰を好きで誰を嫌いなのか、一発で分かる。最も愛情を込めて演出されたのは、楽曲製作のパートナーであるバーニー・トーピン。演じるジェイミー・ベルはこの儲け役を情感豊かに演じる。逆に悪役的描かれ方の人物は皆、今にも続く憎しみが感じられる。ただし、独善的不快感はない。御大が放つハッピーオーラが全てを優しく包み込みこむからだ。あのど派手な衣装やパフォーマンスには(実は彼の闇と通じているとは言え)人を微笑ませる力がある。あのくいだおれ太郎風衣装が似合う世界三大パフォーマーは、エルトン・ジョン、タロン・エガートン、そしてますだおかだの岡田で決まり、だ。ワーオ。





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