永遠に僕のもの

永遠に僕のもの “El Ángel”

監督:ルイス・オルテガ

出演:ロレンソ・フェロ、チノ・ダリン、ダニエル・ファネゴ、
   メルセデス・モラーン、ルイス・ニェッコ、
   ピーター・ランサーニ、セシリア・ロス

評価:★★




 主人公カルリートスを演じるロレンソ・フェロは果たして、絶世の美少年か。写真を眺めただけではピンと来ない。垂れ気味の大きな目。太く短めの鼻。ぷっくり主張する唇。チリチリのブロンド。全体のバランスはアン・ハサウェイを思わせる(時にクロエ・グレース・モレッツの表情も覗く)。けれど、美少年?

 …が、フェロが動き出すとなるほど、納得させられてしまうのだ。特にダンス場面がよろしい。中盤「夢」の中で、終幕「孤独の部屋」で見せるフェロのダンスには、上手い下手ではない、選ばれた者ならではの、人を引き込む美と奇怪さが同居し、その肢体を操るフェロの顔も素晴らしく甘美に輝く。

 フェロに用意された役柄は、アルゼンチンに現れた天使だ。いや、実際は泥棒・強盗・殺人を繰り返す犯罪者なのだけど、この世に「他人の物など存在しない」としらっと言ってのける主人公には、闇というものがまるで感じられず、それこそ原題にある天使を感じさせるほどなのだ。フェロの容姿はそういう類の悪に綺麗にハマる必須条件である、透明感がある。

 『永遠に僕のもの』はフェロが全ての映画で、ほとんど彼のポートレート集の趣だ。70年代、混沌のアルゼンチンで無邪気に悪と戯れるフェロの姿に「自由」を見て、それに衝撃を受けながら、つい魅せられてしまう。そこに説得力を持たせられるか、作り手の勝負所だろう。

 ただ、狙い程それが派手に弾けないのは、主人公が見つめる社会の無秩序に面白味が感じられないからではないか。もっと分かり易く言うなら、美術や衣装、音楽からは時代を感じられるのに、その社会描写からは70年代の匂いがちっとも漂ってこない。主人公は時代が産み落としたはずで、けれど彼が退屈を感じる以外の気配を漂わせない空間が広がる。確かにこれは退屈だ。でもそれだけでは画として面白くない。

 するとカルリートスと彼が学校で目をつけるラモンという少年の間に電流が走らない。本能的な部分で惹かれ合っているはずのふたりの関係が単なる気まぐれに見え、実は大きな隔たりがある犯罪への向き合い方も歪にしか立ち上がらない。つまり官能が不発に終わる。ラモンを演じるチノ・ダリンのオッサン臭がそう見せるのではない。愛や孤独が絵空事で終わっているのだ。





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