ディア・ファミリー あなたを忘れない

ディア・ファミリー あなたを忘れない “What They Had”

監督:エリザベス・チョムコ

出演:ヒラリー・スワンク、マイケル・シャノン、ブライス・ダナー、
   ロバート・フォースター、タイッサ・ファーミガ、ジョシュ・ルーカス

評価:★★




 家族の病や不幸をきっかけに主人公が帰郷する物語は少なくない。最近だとジョン・クラシンスキー監督の「最高の家族の見つけかた」(16年)がもろこのパターンだ。『ディア・ファミリー あなたを忘れない』もその後に続く。認知症の母が行方不明になる事件が起こり、ヒロインが冬のシカゴに舞い戻る。もちろん家族の確執が露わになる。

 つまりありふれている。ただ、だからと言って無下にしたくないのは、実力のある俳優たちの掛け合いに見入るからだ。とりわけ姉と弟に扮したヒラリー・スワンクとマイケル・シャノンのそれが素晴らしい。別に嫌い合ってはいないものの、衝突は何度も繰り返されるし、辛辣な言葉も飛び交う。けれど、ベタベタしない関係の底には家族ならではの愛情が敷かれていることが良く分かる。

 例えば、シャノンが母にナンパされたとぼやく場面。シャノンが経営するバーにスワンクが赴く場面。事態は深刻なはずなのに漂うユーモアには、時に煩わしいことの方が多いことさえある家族という形態の、それでも侮ることのできない不思議な力が見えるようだ。もっと簡単に言うと、家族の空気感が良い。

 スワンクは母を施設に入れたい弟シャノンとずっと自分で面倒を看ると宣言する父ロバート・フォースターの板挟みになる。シャノンとフォースターの衝突には、スワンクとシャノンほどのケミストリーは感じられないものの、それでもそこから迷子になった心の叫びが誠実に聞こえてくる。どちらの気持ちも分かる…という流れから、スワンクがカリフォルニアで作り上げた自身の家族の問題に向き合うという展開には無理がある。

 序盤の空騒ぎ的でも悪くない軽妙さが後半になると消失してしまうは寂しい。いよいよ父と息子の対立が激しくなり、娘も八方塞がりになる。これを問題から逃げなかったなどと褒めるべきではない。深刻な問題を深刻に描くことは普通だ。セリフが重要視される画が続くのは舞台劇を思わせ、そちらも気になるところだ。

 ただ後半、ある悲劇的な出来事をきっかけに、主人公家族が別の角度から表情を見せ始めるところは面白い。母の病を中心に動いていた家族。けれど、このファミリーの核と呼ばれるものは、実は別のところにあったのではないかと解釈できるのだ。すると他の登場人物の奥行きがやや深くなる。立体性も帯びる。スワンクら俳優たちもさり気ない巧さを見せる。ありきたりの中にホンモノが見えてくる。





ブログパーツ

スポンサーサイト



テーマ : 映画感想
ジャンル : 映画

プロフィール

Author:Yoshi
Planet Board(掲示板)

旧FILM PLANET

OSCAR PLANET




since April 4, 2000

バナー
FILM PLANET バナー

人気ページ<月別>
検索フォーム
最新記事
カテゴリ
メールフォーム

名前:
メール:
件名:
本文:

月別アーカイブ
最新トラックバック
QRコード
QRコード
RSSリンクの表示
リンク
ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

Friends
福☆こもろ