ライオン・キング

ライオン・キング “The Lion King”

監督:ジョン・ファヴロー

声の出演:ドナルド・グローヴァー、セス・ローゲン、
   キウェテル・イジョフォー、アルフレ・ウッダード、
   ビリー・アイクナー、ジョン・カニ、
   ジョン・オリヴァー、フローレンス・カサンバ、
   エリック・アンドレ、キーガン=マイケル・キー、
   ビヨンセ・ノウルズ、ジェームズ・アール・ジョーンズ

評価:★★




 94年のアニメーション映画を「実写風」に映像化するにあたり、新たにストーリーに奥行きを与える試みはなされなかったらしい。アニメーションとほぼ同じストーリーであり、同じ世界観だ。間違い探しができるだろう。だから、頭を抱えてしまう。『ライオン・キング』は94年版より先に作られた「美女と野獣」(91年)「アラジン」(92年)に較べて、明らかに作品の質に問題があったからだ。

 「美女と野獣」で言えば華麗なる舞踏会場面、「アラジン」で言えば空飛ぶ絨毯のマジカルな動きに匹敵するものが、アニメーション版『ライオン・キング』にはなかったのだ。アフリカの王であるライオンの息子として生まれたシンバの物語は、見ようによってはウィリアム・シェイクスピア的と言えなくもないものの、基本はディズニーらしくお行儀の良い(だけの)直線的冒険談だ。

 それを「実写風」に再映画化する。実際は全ての画面がCGで作られているので全く実写ではないのだけれど、いやはや、本当に実写にしか見えない。アフリカの大地も、そこにある木々も風も光も、そこを走る動物たちもすべてが作り物だなんて、誰が信じられるだろう。ここまでの映像に仕上げたがゆえ、映画の弱点が逆にありありと浮上してしまったのは皮肉だろうか。

 単純そのものの物語はそのひとつに過ぎない。ホンモノにしか見えない動物たちがディズニー風弱肉強食の世界に身を置く違和感。無理矢理のミュージカルテイストの恥ずかしさ。リアルさが導く可愛らしさからの乖離(動物が問答無用で可愛いのは子ども時代のみ)。中でも「ライオンが頂点に立つ王国」そのものにまとわりつく落ち着かない気分は、かなり酷い。

 「実写」に拘るならば、動物に喋らせるのも諦めるべきだった。いや、諦めるのではない。喋らせないことで語る挑戦に挑むべきだったのではないか。動物たちは意外なほど表情を崩さず、動物らしさをキープする。おそらく過度に擬人化するのを避けたのだ。その選択は間違っていない。その節度があるのなら、シンバが英語を喋ることなく成長していくところを見せられたのではないか。大マケにマケて、ナレーションだけは許すから。

 さて、監督のジョン・ファヴローは実は傑作「ジャングル・ブック」(16年)を手掛けてもいる。それとは何が違うのだろうと考えたとき、「ジャングル・ブック」には主人公のモーグリだけは実際の俳優少年の肉体が活かされたことが大きかった。ほとんどがホンモノに見える作り物の世界で、生身の身体が実際に動くことが魔法の手助けになったのだ。肉体の圧倒的躍動が魔法を乗り越えたのだ。それに較べて『ライオン・キング』は目に見えるもの全てが作り物だ。完璧過ぎてかえって生じる違和感。アフリカの王国が魅力的に見えない原因はそこにある。そう、テクノロジーを極めたようで、実は溺れているのだ。





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