マーウェン

マーウェン “Welcome to Marwen”

監督:ロバート・ゼメキス

出演:スティーヴ・カレル、レスリー・マン、ダイアン・クルーガー、
   メリット・ウェヴァー、ジャネール・モネイ、エイザ・ゴンザレス、
   グウェンドリン・クリスティー、レスリー・ゼメキス、ニール・ジャクソン

評価:★★




 いきなり始まるのは、戦時下、ベルギー上空での爆撃だ。けれど緊張より先に違和感を感じる。よくよく目を凝らすと、戦闘機はプラモデル風だし、黒煙も手作り感あり。操縦する兵士に至っては、まるで陶器の人形みたいな肌だ。ん?なんだか微笑ましい。

 実はこれ、主人公マーク・ホーガンキャンプの空想の世界だ。ヘイトクライムにより9日間の昏睡状態に陥り、回復後も体調が優れず、PTSDにも苦しむ。空想の世界に入り込むことは、主人公に現実から逃れるセラピー的効果ををもたらす。映画では困難な状況下に積極的に立ち向かう様が好まれるものの、このある種の「逃げ」が歓迎されるのが面白い。

 そりゃ頑張るに越したことはないけれど、いつだってそうできるわけではなくて、一歩進んでは休み、また一歩進んでは休みの繰り返しが復活に繋がるというのが、現実的かつ身体にも心にも優しいところだろう。この空想空間は主人公の癒しであり、作り手もそれに共鳴、優しい物腰で話を進めている。

 それに空想なんて言っても、設定はわざわざハードな戦争下なのだ。主人公の分身である兵士は、マーウェンという名の町に降り立ち、そこに住む女たちと共にナチスに立ち向かう。兵士と女たちの戦いはもちろん、主人公の現実世界で起こった出来事が反映される。空想世界を眺めていると、主人公の心の状態、そして実際に何が起こったのかが見えてくるあたり、なかなか巧い構成と言える。

 ただ、主人公やその周辺人物が投影された人形の数々は、もっと作り物っぽく撮っても良かった。CGを使って動かしているのだろう、おかげで表情のない人間に見えるときがあり、ファンタジーの世界に入り込み難く感じられるときがある。敢えてカクカクとした操り人形的可笑しみを前面に出して、空想空間をもっとファンタジックに演出しても良かったのではないか。その方が主人公の痛みが際立ったのではないか。

 …とは言え、空想世界で主人公以上に存在感を発揮する女たちの見せ方は、大いに楽しい。姿形もファッションも個性も全く違う女たちが、ナチスをバタバタと伸していくのだ(その中にジャネール・モネイがいるのが嬉しい)。ちょっとクエンティン・タランティーノやロバート・ロドリゲスの匂いを感じるくらいで、彼女たちのアクションこそがいちばんの見せ場だと断言したい。…なんて書くと、主人公に怒られるか。





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