グリーン・ゾーン

グリーン・ゾーン “Green Zone”

監督:ポール・グリーングラス

出演:マット・デイモン、グレッグ・キニア、ブレンダン・グリーソン、
   エイミー・ライアン、ハリド・アブダラ、
   ジェイソン・アイザックス、イガル・ノール

評価:★★




 ポール・グリーングラスが監督でマット・デイモンが主演だからだろう、『グリーン・ゾーン』は「ジェイソン・ボーン」シリーズの番外編のような印象を湛えている。ボーンが米軍に入ったらどうなるかを見せられているような気分になるのだ。思いがけず昔から知っている人に再会したみたい。

 グリーングラスは実際、「ジェイソン・ボーン」シリーズで完成させた、あのドキュメンタリー風のスピーディなカメラワークと編集を戦場に持ち込んでいる。畳み掛けられるアクション、目一杯動く身体、派手な銃撃戦…ボーンが見せるあのドラマティックなパフォーマンスがイラクの大地で炸裂する。一見この題材と相性の良い演出スタイルに思えるのだけれど、意外なほどしっくり来ないのはどうしてか。いや、血が流れるのが避けられない戦場の臨場感はたっぷりある。緊迫感も一貫している。しかし、それにも関わらず、もうひとつ締まりが感じられないのが不思議なのだ。

 ひょっとすると扱っている題材が大きいがゆえに、それを包み込むほどの大きさを演出で出せなかったのが原因かもしれない。「ジェイソン・ボーン」スタイルは、場面場面がミニマムに仕立て上げられているものの、そこに込められた情報量は豊富で、それを積み上げることで圧倒的な充足感を実現していた。それが効いていないように思える。バクダッドが陥落したイラクで大量破壊兵器を探す米軍の物語が背負っているのは、現実の重み、歴史の厚みである。これをミニマムに見せようとしても、その重みや厚みが画面からはみ出してしまい、時にだらしなく映る。掴み所のない、ぬるぬるとした感触が、気持ち悪いというおかしな事態。

 大量破壊兵器がなかったというバカバカしい事実は誰もが知っていることであるとは言え、物語を単純化し過ぎてしまったのも気にかかる。身内に悪者がいて、それに振り回される構図が最初から透けているので、余計に気が抜ける。政治的な思惑だとか、兵士たちの捨て身の使命感だとか、記者の打算だとか、イラク人たちの複雑な思いだとか、本来なら重層的に蠢いているはずのものが記号化され、収まりが良いところになんの躊躇いもなく収められている。

 デイモン扮する兵器捜索部隊の隊長に手を差し伸べるのはCIAである。「ジェイソン・ボーン」シリーズではデイモンを追い詰めていたのはCIAだったというのに!そんなところが可笑しく見えてしまうあたり、『グリーン・ゾーン』はやっぱり鮮烈な興奮とは程遠いのだろう。





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