ロスト・マネー 偽りの報酬

ロスト・マネー 偽りの報酬 “Widows”

監督:スティーヴ・マックイーン

出演:ヴィオラ・デイヴィス、エリザベス・デビッキ、ミシェル・ロドリゲス、
   シンシア・エリヴォ、コリン・ファレル、ブライアン・タイリー・ヘンリー、
   ダニエル・カルーヤ、ジャッキー・ウィーヴァー、キャリー・クーン、
   ロバート・デュヴァル、リーアム・ニーソン、ジョン・バーンサル、
   マヌエル・ガルシア=ルルフォ、コバーン・ゴス、モリー・クンツ、
   ギャレット・ディラハント、ルーカス・ハース、
   ケヴィン・J・オコナー、マット・ウォルシュ

評価:★★★




 いつの頃からかヴィオラ・デイヴィスの泣きの演技が苦手になった。目に涙をたっぷり溜め、しかし決して泣くまいと歯を食いしばり、けれど遂に堪えきれずに嗚咽が漏れる。上手くても毎度同じ、ワンパターンなのだ。最近はどの作品でもデイヴィスの泣き演技があり、どうやらそれこそが支持を得ているわけだけれど、『ロスト・マネー 偽りの報酬』はまず、そのデイヴィスの泣きの演技を封印しただけで讃えたくなる。

 デイヴィスが演じるのは夫が計画した強盗計画を実行する未亡人だ。計画に参加するのはデイヴィスだけではない。未亡人仲間のエリザベス・デビッキとミシェル・ロドリゲス、そこにロドリゲス紹介のシンシア・エリヴォが加わり、強盗の準備が進められる。この四人のバランスが見事。自分こそがメンバーを引っ張らねばとリーダーとして必死に立つデイヴィス。頭が弱そうに見えて芯の強さを感じさせるデビッキ。強面の中に神経の細やかさを覗かせるロドリゲス。身体のバネが三人を圧倒するエリヴォ。

 笑ってしまうくらいにタイプの違う彼女たちは、決して仲良しこよしではないものの、同志的絆で繋がる。それを男前なそれだと形容するのは失礼に当たるだろうか。デビッキが自身への扱いに憤りを感じてデイヴィスと殴り合う場面は中盤の見せ場のひとつ。衝突はしかし、その間に流れるものを強固にする。そう、彼女たちはカッコイイ。それが重要だ。

 スティーヴ・マックイーンは彼女たちが輝いていく様を切り取る。それなりに幸せだった人生、でもそれは結局男たちの庇護の下にあった。人生を受け身で生きてきた彼女たちは、生死に結びつく危険な綱渡りに挑むことで、思いがけず光をまとい始める。マックイーンの演出は彼女たちをどう輝かせるのかに心を砕く。撮影と編集の優雅なリズムが彼女たちの生き方と共鳴する画の数々が気持ち良い。

 また、強盗計画そのものの意味が変容していくのも面白い。当初は「生きていく手段」だったものが、「夫へのラヴレター」的意味合いを持ち始め、さらには「男と彼らが牛耳る社会への決別」へと変わっていく。コリン・ファレル、リーアム・ニーソン、そしてダニエル・カルーヤら名の知れた男優たちが彼女たちを取り巻く男に扮していることに意味が出てくる。中盤に明らかになるあるツイストなど、この物語を大きく象徴したそれだ。

 女たちのドラマもさることながら、エンターテイメントとしても充実した内容。ただ、クライマックスの強盗実行場面はもっとケレンを効かせても良かったのではないか。シカゴの街で彷徨う寂しい魂の救済を目的とするためだろう、過剰な装飾が避けられるものの、さすがに地味な現実感を優先し過ぎではないか。せめてもう少し女優たちの肉体の魅力を引き出して欲しかったところだ。





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