さらば愛しきアウトロー

さらば愛しきアウトロー “The Old Man & the Gun”

監督:デヴィッド・ローリー

出演:ロバート・レッドフォード、ケイシー・アフレック、シシー・スペイセク、
   ダニー・グローヴァー、チカ・サンプター、トム・ウェイツ

評価:★★★




 ロバート・レッドフォードとポール・ニューマンだったら、男が憧れるのは断然ニューマンだ。アラン・ドロンとジャン=ポール・ベルモンドだったらベルモンドを選ぶのに似ている。そんなわけで俳優レッドフォードを憧れの眼差しで見たことなどただの一度もないのだけれど、カッコつけスターとしての立ち位置を一向にブレさせない彼は、実は偉い人なのではないかという気もしているのだ。こういうのも一周回ってなんとやら…と言うのだろうか。

 レッドフォードは結局、最後まで髪型を変えることがなかったけれど、顔のシワに関しては諦めたようだ。90年代からゼロ年代にかけてのレッドフォードのお目々ぱちくりお直しに人は慄いたわけだけれど、『さらば愛しのアウトロー』では顔面のシワがその反動もあるのか、ほとんど芸術的な線を描いている。口角から斜め下に入るシワもさることながら、目尻のシワが円を描き額のそれと繋がってしまったのは注目に値する。枯山水もびっくりだ。

 映画はレッドフォード引退作と銘打たれているだけあり、そのキャリアが次々浮かんでくる仕掛けがたっぷり。フォレスト・タッカーという名の実在の強盗犯役で、彼は何と16回もの脱獄に成功したのだという。物語は16回目の脱獄後、再び銀行強盗に手を染める彼を描く。

 …なんて書くとサスペンスたっぷりの犯罪劇を想像するものの、どっこいドキドキハラハラはほとんどないに等しい。と言うか、最初からサスペンス作りには興味なし、だ。タッカーという男は「楽に生きるなんてとんでもない。楽しく生きたい」という哲学の持ち主らしく、強盗はしても人を傷つけることとも無縁だ。したがって被害者が一様に「紳士的だった」とフォローするような証言をする。この人物像こそがレッドフォードがキャリアで築き上げたイメージに他ならない。セルフパロディになりかねないところだけれど、そこはプロ、レッドフォードは優雅に役を生きる。

 ケイシー・アフレック演じる刑事はそんな彼を追う内に彼に対してシンパシーを覚える。ダイナーでふたりが顔を合わせる場面がイイ。不敵にもタッカーは自ら刑事に声をかけるのだ。緊迫の場面!…はしかし、終始穏やかだ。その際にアフレック刑事は笑みまで浮かべてしまう。伝説への憧れと敬意が溢れ出る。ロマンス(!)相手役のシシー・スペイセク(依然少女性を湛えるのに驚愕)との掛け合いも同様だ。

 ところで、この映画には大作感というものがない。レッドフォードが主演であっても、インディーズ映画の匂いが濃く、とりわけ映像が醸し出す気配は、ほの暗く内省的だ。このあたりは映画の新しい才能をサンダンス映画祭を通して支援してきたレッドフォードのもうひとつのキャリアが物を言っているように見える。レッドフォードに憧れることはなくとも、感心はさせられる。レッドフォード フォーエヴァー!





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