インスタント・ファミリー 本当の家族見つけました

インスタント・ファミリー 本当の家族見つけました “Instant Family”

監督:ショーン・アンダース

出演:マーク・ウォルバーグ、ローズ・バーン、オクタヴィア・スペンサー、
   イザベラ・モナー、マーゴ・マーティンデイル、
   ジュリー・ハガティ、ティグ・ノタロ、グスタヴォ・キロス、
   ジュリアナ・ガミス、ジョーン・キューザック

評価:★★★




 里親制度を通じて知り合う「夫婦」と「子どもたち」の物語。…と書いただけで泣かせの匂いが強烈に漂う。そして実際、涙腺直撃場面がてんこ盛りだ。里親機関のサイト紹介だけで涙が滲み始め、里親制度に登録している子どもが50万人もいることには唖然とする。おまけに実話がベースと来るのだから、計算尽くの泣かせには騙されないようにしなくては。

 ところが、ここにはお涙頂戴映画にありがちな卑しさがほとんど感じられないのだ。血の繋がらない者たちが本当の家族になるまで。おそらくかなり映画的に脚色されているのだろうけれど、それでも「家族」だとか「絆」だとか、無条件に崇められがちなものに甘い顔はしない。背けるべきではない現実が細かく正直に綴られ、分かり易い展開の中にも「ホンモノ」が生き生きと感じられる。『インスタント・ファミリー 本当の家族見つけました』は良心と共に正しくハリウッドの王道を行く映画だ。

 理想と現実、その差を親の目線で細かく描くことでドラマは展開する。何もないところから始まる親子関係だから、三歩進んで二歩下がる毎日だ。甘い顔をしても厳しい顔をしても距離が縮まるわけではなく、それはほとんど忍耐の日々。子どもたちのハードな過去を受け入れるのは当たり前、憎たらしい態度の数々に冷静を失っては大きな後退が待っている。俺たちは立派じゃないと自己嫌悪にハマり、時には子どもたちを本当に嫌いになる。子どもたちにとって「悪役」になることも必要だ。ごまかしは効かない。

 ストレスの溜まる日常が積み重り、けれどだからこそ見えてくる家族の形が心から愛しい。パパやママと呼ばれることがこんなに嬉しいなんて。子どもの髪をとかすだけで泣けてくるなんて。一緒にご飯を食べるのも遊園地に行くのも当たり前のことじゃない。醜さを知るからこそ雑踏に咲く小さな花に気づく、その尊さを大切にしたエピソードが並ぶ。

 だから、映画でありがちな高速描写にすら感激してしまう。すったもんだがあった後、次の問題が起こるまでの繋ぎとして音楽つきで次々描かれるハッピー描写の数々のことだ。遠く離れていた気持ちがどんどん近くなっていく高揚感。それを導くために大袈裟な仕掛けなど必要ない。平凡でありふれた時間が大切にされれば、個と個の間には新しいものが生まれるのだ。そう、これは人間賛歌でもある。親の親を投入して、問題に厚みを出すのも上手い。

 まあ、脚本には詰めの甘い部分が散見される。父親役のマーク・ウォルバーグの家のリフォーム稼業がイマイチ話に上手く絡んでこないし、ファミリーの犬がほとんど空気のように扱われるのも不満だ。子どもたちの本当の親の存在が都合良く処理された嫌いもある。ただ、そういった不満をカヴァーするのは、結局作り手のハートだ。監督のショーン・アンダースの実際の経験が基になっているそうで、おそらくアンダースにとっては己の価値観を180度変える出来事だったのではないか。その気持ちがちゃんと画面の隅々に込められる。珍しや、実話で良かったなんて思ってしまうのだ。





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