ゴールデン・リバー

ゴールデン・リバー “The Sisters Brothers”

監督:ジャック・オディアール

出演:ジョン・C・ライリー、ホアキン・フェニックス、
   ジェイク・ギレンホール、リズ・アーメド、ルトガー・ハウアー

評価:★★★




 最も目に残るのは、ジョン・C・ライリーの歯磨き場面だったりする。不細工だとはっきり言われてしまうライリーの珍妙な歯磨き場面が何度も大写しになるのだ。弟と共に殺し屋稼業をしていても、善良と純情を併せ持つライリーの可笑しさ・愛しさが炸裂する。『ゴールデン・リバー』を撮ったのはジャック・オディアール。なるほどユーモアが独特だ。

 オディアールは映画の命は細部に宿ると知っているから、語られ過ぎて廃れてしまった西部劇の中にも面白い画をどんどん放り込んで飽きさせない。歯磨き場面以外にも、燃えながら走る馬やライリーの毒蜘蛛食い、その結果の腫れ上がった顔等が次々投下され、もはや貴重な弟役のホアキン・フェニックスの抑えた立ち居振る舞い(もちろん破滅を連想させる)も強く心に残る。うん、序盤からノリノリだ。

 メインの登場人物は僅か四人に絞られ、けれど単調さとは無縁だ。それぞれのキャラクターが立っている。最強でありながら平穏な暮らしを求めるライリーと、実は裏社会での出世を狙うフェニックスはもちろん、彼らの連絡係として動くジェイク・ギレンホールや理想郷の成立を大真面目に願う化学者役のリズ・アーメドも、シリアスにぶっ飛んでいる。

 この四人の関係がまるで生き物のようにどんどん動くのがミソ。映画は動くものと相性の良い芸術なのだ。まず、微妙なパワーバランスのライリーとフェニックス、同じ志で結ばれてしまうアーメドとギレンホールの二組が丁寧に描かれ、遂に四人が顔を合わせてからは、本来追う者追われる者でしかなかった四人の間に信頼と猜疑心が入り混じる結束感までが生まれてしまう。

 ポイントはこの結束の接着剤にゴールドラッシュが使われたことで、そう、欲望というものを露わにしやすい金(ゴールド)が彼らの夢の暴走を加速させる。実際に金をすくい上げる場面に見入る。化学者が捻り出した、金を容易く分別するための「液」を使っての、森深い闇夜の作業。その際の「痛み」が尋常ではない。

 勧善懲悪で描かれがちな西部劇の世界。オディアールはそれに豪快に蹴りを入れる。人はそんなに単純に白黒つけられる生き物ではないと四人が味わう痛みに目を向ける。画面に詩情が漂うわけだ。残酷な中にハートが浮上し、西部の世界が違う角度から輝き始める。これは西部劇へのラヴレターでもあるのだろう。





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