パピヨン

パピヨン “Papillon”

監督:マイケル・ノアー

出演:チャーリー・ハナム、ラミ・マレック、イヴ・ヒューソン、
   ローランド・ムーラー、トミー・フラナガン、
   ヨリック・ヴァン・ヴァーヘニンゲン、マイケル・ソーチャ

評価:★★★




 まあ、前方に立ち塞がる映画があまりに手強い。スティーヴ・マックイーンとダスティン・ホフマンが中心に立ち、フランクリン・J・シャフナーが演出し、脚本はダルトン・トランボと来た。脱獄映画の金字塔「パピヨン」(73年)が、同じタイトル『パピヨン』の相手だ。今の時代レオナルド・ディカプリオやマシュー・マコノヒーを担ぎ出しても対抗できない可能性の方が高い。いや、でも主人公パピヨンは何度叩き潰されても立ち上がるじゃないか。そうか、名作への挑戦こそが、パピヨンの人生に被るのか。

 …って、それはあまりにも強引な解釈だけれど、オリジナルにほとんどの点で及ばないにしても、まだ楽しめるポイントは残っている。脱獄映画にあって欲しいチャームは死んでいない。21世紀版アップデートなどは目指さず、潔く舞台は1931年、昔ながらのアナログなアクション映画の味で勝負だ。

 何と言っても、余計な人間ドラマに目もくれず、生き残るか死ぬか、脱獄するか失敗するか、という単純なサスペンスで押すのが良い。なんせモデルになった人物は9回も脱獄に挑んだという人物だ。脚色するにあたり、回数は減らされたとは言え、パピヨンも何度も脱獄に挑む。余計なおしゃべりは躓く原因になるだけだ。話は加速する。

 ただし、説明不足の印象はない。パピヨンは最初から脱獄する気満々で、島に着くや否や情報収集、脱獄に必要なものをてきぱき集めていく。…とは言え、観客が過酷な牢獄生活を当たり前のように受け取る必要はない。パピヨンの相棒となるルイ・ドガの目を通して、知恵も体力もない我々は、脱獄にちゃんと参加できる。生き地獄に目を見張りながら、スリルを味わえるのだ。

 描写は過激だ。隣の囚人は信用できるか分からない。敵はゾンビのごとくしつこい。それでも微笑まずにはいられないのは、パピヨン=チャーリー・ハナムとルイ・ドガ=ラミ・マレックのコンビネーションが冴えているからだ。利害が一致して接近するふたりが創り上げるのは、「友情」や「絆」なんて言葉のベタベタな響きよりもよっぽど確かな関係だ。素っ気ない会話が続いても、いざというときは互いのために身体が動く感じが良く出ている。ハナムとマレックの相性も抜群だ。

 パピヨンを眺めていると、この世で最も信頼すべきは知力と体力だということが良く分かる。金はそれを補助するものに過ぎない。少年性とその美と引き換えにマッチョな身体を手にしたハナムがようやく活かされたパピヨンは、その肉体で「男はやっぱり生命力」と宣言しているみたいじゃないか。オリジナルと比較して文句だけを言う輩を笑い飛ばしている風にすら見える。





ブログパーツ

スポンサーサイト



テーマ : 映画感想
ジャンル : 映画

プロフィール

Author:Yoshi
Planet Board(掲示板)

旧FILM PLANET

OSCAR PLANET




since April 4, 2000

バナー
FILM PLANET バナー

人気ページ<月別>
検索フォーム
最新記事
カテゴリ
メールフォーム

名前:
メール:
件名:
本文:

月別アーカイブ
最新トラックバック
QRコード
QRコード
RSSリンクの表示
リンク
ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

Friends
福☆こもろ