ジョナサン ふたつの顔の男

ジョナサン ふたつの顔の男 “Jonathan”

監督:ビル・オリヴァー

出演:アンセル・エルゴート、スキ・ウォーターハウス、
   パトリシア・クラークソン、マット・ボマー、
   ダグラス・ホッジ、スレイマン・スイ・サヴァネ

評価:★★★




 アンセル・エルゴート演じるジョナサンがビデオカメラに向かって語り掛ける場面が続く。誰に向けてのビデオなのか。恋人?家族?もしかして双子の片割れ?…と候補がいくつか挙がった後に辿り着くのは、己の身体に生きるもうひとりの人格ジョンだ。ジョナサンは二重人格(…という言葉が適切かどうかは分からないが)なのだ。この説明、すなわちジョナサンの世界観の紹介にもたつく。

 ただし、焦らずじっくり青年の日常を描き出したことで、『ジョナサン ふたつの顔の男』はその後効率く良く話が展開する。毎日7時にジョンからジョナサンへ、19時にジョナサンからジョンへ人格が切り替わること。医療で時間をコントロールしていること。ふたりとも短時間で切り上げられるパートの仕事に就いていること。恋人は作らないというルールがあること。ビデオを撮ってから眠りにつくこと。…いずれも後々効いてくる。

 「ジキル博士とハイド氏」を今風に撮ったらどうなるか…というのが映画の描きたかったところだろう。ポイントはこの題材にどう向き合うかだ。ホラー仕立てはもちろん可能だし、バカコメディにもできるだろう。大真面目にドラマを目指すことだってできる。そうして作り手が選んだのは、ラヴストーリーだった。

 …と言っても、単純に男女が愛し愛し合うそれではない。ジョナサンもジョンもエレナという名の女性に恋するものの、実は彼女との恋愛はきっかけに過ぎない。ふたりとも恋愛禁止のルールを破ることで、互いの大きさに気づく。そう、ジョナサンとジョン、これはひとつの肉体に共存するふたつの人格がそれぞれを想い合うラヴストーリーへと変容していくのだ。もちろん大っぴらに愛を語ることはない。けれどその言動がそうとしか読めないのが面白い。

 そして、このトリッキーな展開を成功に導くのは、話をジョナサンの視点に徹底的に絞ったことだ。ジョンの動くところはビデオを通してでしか描かれず、それゆえふたりの人生の見えない部分、余白ができ、感情という姿形を変え易いものが良く動くのだ。エルゴートはそれを身体に映し出すのに懸命だ。

 終幕の流れは、ドラマ、サスペンス、そして互いへの愛情が慎ましい中でせめぎ合いを見せ、なかなか切ない。「これは俺の身体だ」と戦い合うのではなく、「俺はお前を愛している」と叫びながら、避けられない運命に向かって突き進んでいく。やや頭でっかちになるところはあるものの、情感が勝つ。





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