ガラスの城の約束

ガラスの城の約束 “The Glass Castle”

監督:デスティン・ダニエル・クレットン

出演:ブリー・ラーソン、ウッディ・ハレルソン、ナオミ・ワッツ、
   マックス・グリーンフィールド、セーラ・スヌーク、ジョシュ・カラス、
   ブリジット・ランディ=ペイン、エラ・アンダーソン、
   チャーリー・ショットウェル、セイディ・シンク、シェリー・クルックス

評価:★★




 例えば「誰も知らない」(04年)「海街diary」(17年)「万引き家族」(18年)の是枝裕和監督は、血の繋がりが結びつける家族という形を、さほど信用していない人だろう。それよりも個と個がぶつかったときに思いがけず生まれる関係を信じている。それに共鳴を覚える者には『ガラスの城の約束』が謳う家族が鬱陶しくて堪らない。

 ヒロインはニューヨークで雑誌ライターとして活躍する若い女性ジャネットだ。物語は彼女の現在と過去を同時進行で描く。父は定職に就かず酒浸り。母は好きな絵を描くことを何よりも優先する。ジャネットはそんな両親に育てられてきたことを苦々しく思う。彼女は事ある毎に酷かった彼らを回想する。

 これがなるほど、責めて当然、恨みに思って当たり前の綱渡り生活だ。食事を作らなかったり怪我をそのまま放っておいたりの毎日。時に犯罪の片棒を担がせ、夜逃げも日常茶飯事。よくまあ、それで自由を謳うなんてできるものだと呆れるしかない言動の連発。完全に勘違い夫婦。ジャネットの壮大なる復讐でも始まるのではないかと期待する。

 …のだけれど、監督のデスティン・ダニエル・クレットンはそれどころか、両親はそれでも憎めないチャームを持っていると好意的に解釈すらするのだ。ジャネットも怒りながらも、それでも親は親、今の自分があるのは彼のおかげでもある、だなんてしみじみしちゃう。そう、この映画は過酷な半生を送ってきた女を見つめながら、それを強引に美談にまとめ上げる。苦境から学ぶというのではない。苦境よ、ありがとう、みたいな。

 とりわけ慄くのは、それまで父母(特に父)のろくでもないところを散々紹介しながら、終幕になって突然、泥水の中に咲く一輪の花のように、父親の良かったところエピソードを手のひら返しで連発するところだ。そうだった。忘れていたけれど、ダメなところばかりじゃないのよ。良いところもあるのよ。あのときはそれに救われたっけ…?ありがとう、お父さん!…ってバカじゃないの?彼らは自由と責任放棄をはき違えているだけじゃないか。

 ジャネット役のブリー・ラーソンはそんな頓珍漢な思考をするような女には全然見えないし(ついでに言うと、ドレスアップが似合わない。各映画賞授賞式ではそうでもないのに)、破廉恥な泣かせや押しつけがましい感情表現なんて受けつけないタイプだと思っていた。ラーソンはそれよりも、ユーモアで物事を突破していくのが似合う。血が繋がっているというだけで、家族という形をを信じられる人向きの映画だ。





ブログパーツ

スポンサーサイト



テーマ : 映画感想
ジャンル : 映画

プロフィール

Author:Yoshi
Planet Board(掲示板)

旧FILM PLANET

OSCAR PLANET




since April 4, 2000

バナー
FILM PLANET バナー

人気ページ<月別>
検索フォーム
最新記事
カテゴリ
メールフォーム

名前:
メール:
件名:
本文:

月別アーカイブ
最新トラックバック
QRコード
QRコード
RSSリンクの表示
リンク
ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

Friends
福☆こもろ