復讐のドレスコード

復讐のドレスコード “The Dressmaker”

監督:ジョスリン・ムーアハウス

出演:ケイト・ウィンスレット、リアム・ヘムズワース、ジュディ・デイヴィス、
   ヒューゴ・ウィーヴィング、キャロライン・グッドオール、セーラ・スヌーク

評価:★★★




 始まりはまるで西部劇だ。1951年、オーストラリアの田舎町に美しくドレスアップした女が降り立つ。少女時代以来、どうやら25年ぶりの帰郷らしい。少女時代の彼女は同年代の少年を殺害した疑いがあるのだという。その立ち居振る舞いから察するに、女は町に嫌悪感を抱いていて、どうやら何かを企んでいる。25年の恨み、忘れないでいられようか。

 そうして彼女が町の女たちに、己の才を活かしてドレスを作るというのが面白い。幼い自分を追い出した田舎町を自分のドレスで染めていくのだ。クリスチャン・ディオールやクリストバル・バレンシアガの名前が飛び出す時代にデザイナーとして花開いた女の手口として、これ以上愉快で美しい復讐もないだろう。時代から取り残された町で生きる軽薄な女たちは、アッという間に彼女の才能の虜になる。

 このヒロインをドレスに愛されない女、ケイト・ウィンスレットが演じるのは疑問が出るところかもしれない。ただ、この映画はあらゆる意味で、ミスマッチの魅力に溢れている。田舎町とハイファッション。積年の恨みとその復讐の手口。したたかさと思いやり。拒絶と寛容。そんな中にウィンスレットが目一杯ドレスアップして現れるのは、決して不自然ではないのではないか。何より町の者たちは物事を深く考えることを拒否する人物で占められる。

 いつでも砂埃舞う町に建つ家々に一歩入れば、可愛らしい時代の雑貨に取り囲まれるのが楽しい。ウィンスレットが仕立てるドレスの数々は、そういう時代の空気を殺さない洗練がある。それにドレスアップした人々を眺めるのは、単純にとても楽しいものだ。美しく着飾った女たちに男たちがメロメロになるのも可笑しい。結局、外見って大事だ。

 ヴィジュアルの面白さは最後まで持続するものの、物語は途中で息切れする。果たして25年前の事件の真相はどこにあるのか。明らかになるそれに何の驚きもないのはミステリーとして失格だし、その後思いがけずメロドラマ的展開を見せるのはかったるい。母と娘のドラマがせり上がる件はちょっとほろりとさせられるものの、物語を俯瞰で見ると浮いている感は拭えない。ただし、母親に扮したジュディ・デイヴィスの演技はさすがの一言。

 おそらくヒロイン像を完全に「強い女」として創り上げられなかったのが問題だ。わけあり女風に登場しながら、いつの間にか「情に厚く」「傷つきやすく」「逆境から何度も立ち上がる」女という分かり易い人物像で満足している。「悪女」的魅力を全開に田舎町を翻弄するぐらいの佇まいが欲しい。魔女たちに追われた女が魔女以上に複雑な女として帰還する。差し出されたその構図が脆いのだ。





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