Mr. & Mrs.フォックス

Mr. & Mrs.フォックス “The Con Is On”

監督:ジェームズ・オークリー

出演:ティム・ロス、ユマ・サーマン、アリス・イヴ、
   ソフィア・ヴェルガラ、マギー・Q、スティーヴン・フライ、
   クリスピン・グローヴァー、パーカー・ポージー

評価:★




 ロサンゼルスの一流ホテルや富豪の大邸宅を舞台にしているというのに、丸っきり「ゴージャス」から見放されているのはどうしてか。名の知れた役者たちが出てきて思い切り気取ったパフォーマンスを見せるのに、一向に見惚れることがないのはどうしてか。犯罪がストーリーの軸にあるというのに、全く持ってサスペンスが見当たらないのはどうしてか。『Mr. & Mrs.フォックス』には誰もが頭を抱えるに違いない。

 ティム・ロスとユマ・サーマンが主演で犯罪要素があるものだから、てっきりクエンティン・タランティーノ映画の線を狙っているのかと思ったのだけれど、おそらく目指したのはウッディ・アレン映画風のドタバタだ。ロスとサーマンがメインには違いないものの、彼らを取り囲む登場人物も癖のある人々で揃えられ、一般常識では考え難い言動で事態を掻き回す。実際、アレンが撮ったらどうなるだろうと思う箇所は少なくない。ただ、どう頑張っても偽物は本物になれない。

 スマートさが足りない。ロスとサーマンが演じるのは英国の詐欺師で、笑いを意識しながら、同時にスタイリッシュを目指す。サーマンなど綺麗なお召し物をまとって、所謂スター演技で通す。アルコール片手に優雅に犯罪計画を練り、いよいよそれを実行するときには臨機応変に場を切り抜ける。…と見せたいようなのに、どこまで行っても、酔っ払った頓珍漢でしかないふたり。

 当然笑いは不発に終わる。アレン映画のように、スターたちによる贅沢なドタバタの趣は皆無。いや、役者たちはそのつもりなのかもしれないけれど、笑いより先に立つのは痛々しさだったりする。例えばアリス・イヴは高飛車女の高慢ちきぶりを思い切ってデフォルメしているのに、それを飾り立てる術を作り手が知らないものだから、やはり頓珍漢にしか見えないなのだ。

 役者たちのケミストリーも弾けない。ロスとサーマンは、身長差のあるヴィジュアルこそ身を乗り出すものの、それに中身がついていかないという典型。ロスの重たさが喜劇には不釣り合いという現実を突きつけるぐらいしかしないカップルだ。それに較べたら大物ギャングに扮したマギー・Qは健闘した方だけれど、それでも役柄の血生臭さを味方につけることには失敗する。ルーシー・リューだったら、どうなっただろう。

 うっかり忘れそうになるものの、ロスとサーマンは詐欺師カップルだ。…にも拘らず、痛快詐欺場面はたったのひとつも出てこない。薬の入ったアルコールを飲ませる。わざとぶつかって慰謝料を請求する。人込みの中で財布を掏る。他人に成りすまして邸に潜り込む。この程度の技しか見せないふたりは結局、三流詐欺師ということなのだろう。きっとスカッとさせてくれるなどと期待する方がバカだったのだ。





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