ホワイト・ボーイ・リック

ホワイト・ボーイ・リック “White Boy Rick”

監督:ヤン・ドマンジュ

出演:リッチー・メリット、マシュー・マコノヒー、ベル・パウリー、
   ジェニファー・ジェイソン・リー、ブルース・ダーン、
   ブライアン・タイリー・ヘンリー、ロリー・コクレイン、RJ・サイラー、
   ジョナサン・メジャース、エディ・マーサン、テイラー・ペイジ

評価:★★




 リック・ウェルシュは14歳にしてFBIの情報屋になり、16歳で麻薬王にのし上がり、逮捕後は終身刑を宣告された人物だという。どんな凶悪な男なのだろうと想像するものの、彼が「活躍」した10代半ばを描く『ホワイト・ボーイ・リック』から得られる情報から判断すると、むしろ彼は時代の犠牲者、社会の犠牲者だ。映画はほとんど残酷な青春映画の趣だ。

 リックの家庭は「ホワイトトラッシュ」と言って良いだろう。銃の裏販売で生計を立てる父親とドラッグ中毒の姉と一緒に暮らす彼は、元々褒められる生き方はしていない。ただ、彼を犯罪の世界に完璧に引きずり込むのが、あのFBIというのが、あぁ…。知恵と度胸があるばかりにFBIにスカウトされ、情報屋として黒人ギャング組織に近づくことを強いられ、しかも結果を残してしまうのだ。

 そう、映画はリックに極めて同情的だ。FBIに都合良く利用される14歳。腹を撃たれて人工肛門人生になる15歳。FBIに見切りをつけて麻薬を売り捌く仕事に手を染める16歳。彼はこの若さにして「昔は良かった」なんて呟く。彼が間違った人生を歩んだことは違いなく、しかしそれでもなお胸が痛む。

 どうしてリックに肩入れしてしまうのか。それはもう、彼が犯罪社会で生きることを選んだのは、誰よりも家族の幸せに憧れを抱いたためという解釈が物語の根底に敷かれているからだ。生意気な振る舞いをしてもまだティーンエイジャーだ。家族でビデオショップを開くのが夢と言いながら小悪党的仕事から抜け出せない父親から受け取ったもので、唯一確かなものは家族愛だった。父を演じるマシュー・マコノヒーのダメ親なりの愛情が素晴らしく突き刺さる。リック役のリッチー・メリットはそれを手放すことを諦めない。

 ただ、リックのあまりにも濃厚な10代を定点観測しただけで満足した感がある。特にFBIの動きはもっと克明に追いかけるべきだ。何故ならその無責任な態度がリックを悲惨な結末に導いたと言っても過言ではない。彼らはどういう判断で彼を自分たちのテリトリーに引きずり込み、用が済むと捨て、彼が窮地に至っても素っ気ない対応ができたのか。この物語はリックからの視点だけでは立体性を持たせるのが難しい題材のはずだ。

 それからリックが犯罪行為に走る具体的な描写がほとんどないのも気になる。情報屋としてどんな動きを見せたのか。麻薬販売はどうやってなされたのか。リックは聞いただけでは俄かには信じ難いことやってのけたわけで、でもそれが仄めかしだけで済まされるため、リックがどこまでも純情な少年にしか見えない。家族の温かさが欲しかった少年、それだけで結論づけるのは勿体ない人物ではないか。生き様の迫力に乏しいのだ。





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