スノー・ロワイヤル

スノー・ロワイヤル “Cold Pursuit”

監督:ハンス・ペテル・モランド

出演:リーアム・ニーソン、ローラ・ダーン、トム・ベイトマン、
   トム・ジャクソン、エミー・ロッサム、ドメニク・ランバルドッツィ、
   ジュリア・ジョーンズ、ジョン・ドーマン、ウィリアム・フォーサイス

評価:★★★




 リーアム・ニーソン映画は大抵こんな感じだ。休日はごろごろしてそうなフツーのオッサンが、実はとんでもない身体能力の持ち主で、傍若無人な悪漢どもを豪快になぎ倒していく。観ている方はそんなオッサンに拍手喝采。大笑いしながら大興奮。小さな粗なんてどうでも良い。ニーソン サイコー!…という心理状態になるまでアッという間だ。

 実際『スノー・ロワイヤル』も、息子を殺された主人公オッサンが第一の復讐を果たすまでは、ニーソンも通常営業。模範市民賞を貰うくらいに善良な除雪作業員が別の顔を見せる。心情は痛いほど分かるから、褒められた言動ではなくても快感が浮上する。オッサン、やったれ!

 ところがその後、一人また一人と死体が増えていくに連れてせり上がるのは、深刻さから切り離されたどこかマヌケな気配だ。笑いの空気こそが物語に充満し始めるではないか。クエンティン・タランティーノ映画的な緩さ、或いは「ファーゴ」(96年)的可笑しみを感じさせるそれが、今回のニーソン映画の回答だ。主人公は間違いなくニーソンだ。けれどアンサンブル色が強く、キャラクター全員で世界観を構築、勝負している感が強い。

 当然キャラクターの色がいちいち濃くなる。栄養摂取に敏感な若き麻薬王。やたら冷めた目で物事を見る子ども。思いがけず愛し合う強面男たち。事件発生により退屈から解放されて喜ぶ婦人警官。スピード、リンボー、サンタ…等バカな呼び名の雑魚キャラクターたちもそれぞれ個性を与えられて楽しそう。

 ゆえに死に様も十人十色。残酷なそれを極力想像させる演出の下、無念の死を遂げた者たちが…思い切って笑い飛ばされる。死ぬ度にその名前が紹介されるのも可笑しいし、ニーソンが死体を魚のように抱えて川に放り投げるのもナイス。まあ、既存映画のイミテーションに見えるのはいただけないものの、愛嬌に免じて許そうじゃないか。

 愛嬌と言えば、ニーソンと除雪車の組み合わせが素晴らしい。人の背よりも高く積もった雪をパワーたっぷりに吹き飛ばしていく除雪車。速度が上がれば上がるほどニーソンの怒りと悲しみが盛り上がる。除雪車をなだめるのは雪しかなく、しかしその雪の白が真っ赤な血に染まる、ある種の美しさよ。もしかしたらアクションスター覚醒後のニーソンが主演する、最も美しい映画かもしれない。





ブログパーツ

スポンサーサイト



テーマ : 映画感想
ジャンル : 映画

プロフィール

Author:Yoshi
Planet Board(掲示板)

旧FILM PLANET

OSCAR PLANET




since April 4, 2000

バナー
FILM PLANET バナー

人気ページ<月別>
検索フォーム
最新記事
カテゴリ
メールフォーム

名前:
メール:
件名:
本文:

月別アーカイブ
最新トラックバック
QRコード
QRコード
RSSリンクの表示
リンク
ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

Friends
福☆こもろ