誰もがそれを知っている

誰もがそれを知っている “Todos lo saben”

監督:アスガー・ファルハディ

出演:ハヴィエル・バルデム、ペネロペ・クルス、リカルド・ダリン、
   エドゥアルド・フェルナンデス、バルバラ・レニー、インマ・クエスタ、
   エルヴィラ・ミンゲス、ラモン・バレア、カルラ・カンプラ

評価:★★




 人物相関図を見せられている気分を誘う映画だ。悪い意味で、だ。誰もが裏の顔を持っているか秘密を隠していて、互いへの感情は表面上通りには受け取れない。それにゆえに物語が動くわけだ。アスガー・ファルハディはそれこそがドラマだと信じて疑わない。

 問題は細かく分析されたそれを、喜んで受け入れられない点だ。相関図の何が間違っているのか。或いは相関図通りゆえに生まれる歪みの正体とは何か。心に問い掛けるよりは頭の中を解析している気配が色濃いのだ。だからファルハディ映画には独特の冷たさがある。それが心地良いのではなく、喉に刺さった小骨の痛みに似た違和感に繋がる。

 『誰もがそれを知っている』ではある結婚式に集まった家族の秘密が、実に仰々しく暴かれる。当然ファルハディは完璧な相関図作りに余念がない。大変な数の登場人物が入り乱れるものの、さすが「丁寧」な組み立てで混乱させない。人物の出し入れも手際良く、痛快と言って良いかもしれない。

 ところが、秘密が秘密として機能しない。ファルハディが用意した筋立てがありふれたメロドラマ以上の力を持っていないと言い換えても良い。配役を考えても考えなくても、実はそうなのではないかと簡単に察せられる真実しか見えてこないし、ある人物が土地を手にした件を聞かされれば結婚式後に発生する誘拐事件の真相もすんなり読めてしまう。スリラー仕立てなのにメロドラマが前面に出てくる。

 だからこれはもう、舞台となるスペインの田舎の街並みや農園、鬱蒼と茂る草木の匂いを感じることに専念するに限る。中心にいるペネロペ・クルス(ただ泣いているだけの役回り)とハヴィエル・バルデム(相変わらず横顔のインパクトが強烈)の名前を出すまでもなく、実に濃いぃぃぃラテン俳優のすし詰め状態。頼んでもいないのに、その体臭まで匂ってきそうで、もう少しで咽るところだ。見てるだけなのに。己の本能的な部分が反応するのが分かる。

 さて、大した話ではないのは確かだけれど、この物語のその後に関してはちょっと気にかかる。どう考えても本当の不幸はこれから始まる。それに直面したとき、登場人物たちがどう動くのか、全然読めない。ファルハディはそちらに着目したドラマを展開させるべきだったのだ。





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