ハイ・ライフ

ハイ・ライフ “High Life”

監督:クレール・ドゥニ

出演:ロバート・パティンソン、ジュリエット・ビノシュ、ミア・ゴス、
   アンドレ・ベンジャミン、アガタ・ブゼク、
   ラース・アイディンガー、クレール・トラン、ジェシー・ロス

評価:★★




 とにかくなかなか情報が落とされない。宇宙船と思しき場所でいつにも増して生気の感じられないロバート・パティンソンが何やら作業をしている画が延々映される。時々記憶と思われる画も出てくるものの、基本パティンソンと謎の赤ん坊のわけのわからない触れ合いの繰り返し。それ以上でもそれ以下でもない。

 30分ほど経ってようやく他の人間が登場、少しずつ状況が明らかになる。死刑囚からなる宇宙船乗組員は、とある実験参加と引き換えに自由を得たとのことで、しかし、宇宙船内で行われるそれは全然楽しいものではないらしい。「生殖」に関する実験をジュリエット・ビノシュが主導する。

 パティンソンは可愛い赤子に向かって「お前を溺死させりゃ良かった」「お前を殺し、俺も死ぬ」などと物騒なことを口にする。何がどうしてそんなセリフに至ったのか、クレール・ドゥニはたっぷり時間をかけて見せていくものの、そこには映画を観る喜びはほとんど感じられない。男と女、いずれも禁欲的な生活を強いられ、けれどそれが悲劇を招く…という簡単に予測可能な流れが、頭でっかちに描かれる。

 頭でっかちと言っても分かり易さや単純さとは無縁。何と言うか、「前衛芸術」という言葉が過ぎるような演出で、とりわけビノシュによる狂気の科学者の立ち居振る舞いがぶっ飛んでいて、でも退屈だ。いかにも芸術を頭で考えた風情。そもそもビノシュは分別臭い女優で、その肉体もそこから切り離すことはできない。

 旅の終着点に近づくとき、ある若い女優が顔を見せる。このときようやくテーマが立体性を帯びる。生殖実験の先には当然「命」というものがあり、若い女優の肉体はまさにその象徴として輝くのだ。理屈ではない。生というもの輝きは、説明不要のそれだと良く分かる。

 願わくば、ここでパティンソンをもっと魑魅魍魎の世界に引きずり込んでくれたなら…。囚人にしては優等生なパティンソンは、その静かな佇まいを決して崩さない。あんなに目つきが悪いのに…。ここはひとつ、若い命への欲望を捩れさせるぐらいのことはしても良かった。呆気ない結末にフランス人監督だからだと納得したくない。もちろん分かった風にこれが芸術だとも言いたくない。





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