ガルヴェストン

ガルヴェストン “Galveston”

監督:メラニー・ロラン

出演:ベン・フォスター、エル・ファニング、リリ・ラインハート、
   アデペロ・オデュイエ、ロバート・アラマヨ、マリア・バルベルデ、
   CK・マクファーランド、ボー・ブリッジス

評価:★★★




 監督がメラニー・ロラン、つまり女というのが意外だ。クライマックスに差し掛かるまで、物語が男の美学、死に際の美学に支配されていたからだ。終幕は急に現実的な展開になり、突然冷水を浴びせられたような感覚。なるほど男が手掛けていたならこういう結末にはならないだろう(原作は男性作家による小説)。

 『ガルヴェストン』は40歳になるチンピラオッサンと19歳の娘っ子の逃避行を描く。犯罪絡みの旅路の中に互いへの、恋とは違う愛情が芽生えるというプロットは、ともすれば気持ち悪いメルヘン臭が出そうなものだけれど、むしろ尊い何かを見せられている気分を誘う。オッサンの陶酔を美しく見せるという、高度な技がキマる。

 オッサンをカッコツケ男として描かないのが正解だ。情けなくて、短絡的で、計画性もなくて、でもハートの根っこは腐っていない。だから19歳と並んでも違和感を生じない。ベン・フォスターとエル・ファニングによるヴィジュアルの説得力も強い。身長差や年齢差を含め、このふたりならと信じられる。とりわけファニングの魅力。

 ファニングが演じる女は決してお上品ではない。わけありで、気まぐれで、男を振り回してばかりだ。それでもファニングは天使を思わせる清らかさを掬い上げられる女優だ。露出多めでもいやらしくなく、男物のシャツを着れば愛らしさ爆発。けばけばしい化粧は良い意味で似合わず、泣いても笑ってもその佇まいが黒く染まらない。

 ファニングは言う。「お酒が欲しくなったのは人生で初めてよ」。男は返す。「俺に対しては常に正直でいてくれ」。こんなふたりの無謀な旅を眺めていると、どうしても幸せを掴んで欲しいと願ってしまう。ふたりがたった一度「デート」する場面が良い。ほろ酔いのふたりがダンスを始め、ある瞬間ファニングがフォスターをバックハグ。あぁ、なんて可愛らしい画だ。オッサンの陶酔だったとしても、ちゃんと魅せられるそれだ。こんな幸せがずっと続かないことを、ふたりが本能的に察知しているのが切ない。

 …とここで、その直後からのラストまでの流れについて考えてしまうわけだけれど、うーん、どうしても何か違うものを感じるのだ。余命幾ばくもないフォスターに突きつけられる現実が、あまりにもしょっぱ過ぎないだろうか。その意外性が気持ち良かったそれまでの陶酔を全て吹き飛ばしてしまう。もしかしすると女目線で見ると、こういうのがロマンティックに映るということか。どうなんだ。





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