コレット

コレット “Colette”

監督:ウォッシュ・ウエストモアランド

出演:キーラ・ナイトレイ、ドミニク・ウエスト、デニース・ゴフ、
   エレノア・トムリンソン、フィオナ・ショウ、
   ロバート・ピュー、レイ・パンサキ

評価:★★




 夫から贈られるスノードーム。サイズの合わないドレス。皿の上から動けないカメ。…なるほどオープニングから少しずつ見せられるこれらは、ガブリエル・コレットの人生の前半を象徴していたのか。「クローディア」シリーズで知られるコレットが恋に恋する少女だった頃から本当の自分を獲得するまで。抑圧からの精神的・肉体的解放が『コレット』のテーマだ。

 確かにそれを描くのに適したコレットの人生だ。夫ウィリーのゴーストライターとして己の才能を発揮する時代の苦悩は大変に分かり易く、記号化できそうなほど。「ビッグ・アイズ」(14年)のマーガレット・キーン、「天才作家の妻 40年目の真実」(17年)のジョーン・キャッスルマン、事情は違うけれど「メアリーの総て」(17年)のメアリー・シェリー…このところ夫に才能を奪われる妻がフィクション・ノンフィクションを問わず次々出ているのは時代の流れか。

 実のところ、コレットが思い悩むエピソードはそれほど多くない。ゴーストライターとして書くことを当たり前のこととして受け入れる時間が思いの外長い。…となると目立つのは夫ウィリーの横暴だったりする。ケネス・ブラナー化が進むドミニク・ウエストが体現するこの夫像が極めて不愉快。どこか憎めないところがあるというレヴェルにはなく、ひたすらゲンナリさせる存在。…にも拘らず夫の支配も無駄ではなかったという見方。あぁ、コレットがバカに見えてくるのは不幸ではないか。

 作り手もコレットがウィリーから離れるまでに拘った展開を選ぶ。つまりどうしても離れられないふたりの姿を見せられ続けるわけで、ゆえに物語が平坦に見えてくる。もっとジェンダー絡みのエピソードを膨らませたり、或いは離婚後の人生を光を当てたりできたのではないか。

 特に舞台のパフォーマーとして活動する巡業時代は、コレットを演じるキーラ・ナイトレイが生き生きしていることもあり、もっと見ていたいと思わせる魅力あり。相手役の女優にもうひとつ吸引力が感じられないのは惜しいものの、心の自由というものを感じられるのが気持ち良い。

 コスチューム物らしく衣装や美術はどの場面も大いに楽しい。注目したいのが雑貨の配置だ。生活に密着した雑貨が次々見られるだけではない。その無造作にも見える置き方が格好良くて、決して華美ではないのに魅せられてしまうのだ。おそらく背景・装置とのバランスが鋭く計算されているのだろう。ゴージャスに固めれば良いわけではないということだ。





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