ホワイト・クロウ 伝説のダンサー

ホワイト・クロウ 伝説のダンサー “The White Crow”

監督・出演:レイフ・ファインズ

出演:オレグ・イヴェンコ、アデル・エグザルコプロス、
   ラファエル・ペルソナーズ、、チュルパン・ハマートヴァ、
   セルゲイ・ポルーニン、カリプソ・ヴァロワ、
   ルイス・ホフマン、オリヴィエ・ラブルダン

評価:★★★




 『ホワイト・クロウ 伝説のダンサー』はソビエト連邦出身のバレエダンサー、ルドルフ・ヌレエフの若き日を描いた実話映画だという。レイフ・ファインズは20年近く企画を温めてきたとのことだけれど、おそらく本当は自分でヌレエフを演じたかったのではないか。今となっては若さも髪の毛も不足している。そうしてファインズがヌレエフ役を託したのは、現役プリンシパル、オレグ・イヴェンコだった。

 ヌレエフは役者が手掛けるのは難しい役どころなのだろう。何しろバレエの歴史を変えたとされる人物であり、当然その身体能力は演技や努力でどうこうなるものではないのだ。イヴェンコはファインズの期待に応えるパフォーマンスを見せる。バレエ場面の手足の動きや跳躍力、回転数、そしてスピードが尋常ではない。いや、技術だけなら何とかなるのか。しかしここには美が存在する。彼が跳び上がる度に空気の流れが止まり静寂が訪れる。

 物語はヌレエフがキーロフ・バレエの公演でパリにやって来た場面を切り取る。このときのヌレエフの目は好奇心に満ち溢れる。当時はバリバリの冷戦下。東から西へやって来た者が感じる自由の気配が楽しく映し出される。…と同時にそこには東で生きる影が付随する。ファインズ、抜かりなし。

 ファインズはヌレエフの好奇心の根っこに芸術家の魂を見ている。目に見えるもの全てを吸収してやる、決して見逃さないという、前のめりのアーティスト気質。それはフランス人との積極的な交流にも直結する。演技とバレエ、ジャンルこそ違えど、ファインズはアーティストの魂を愛でる。

 そうしてヌレエフの目に飛び込んできたものは、記憶庫の奥に仕舞われていたものを呼び起こす。フラッシュバック場面がたっぷり出てくる。これが上手くない。何度も繰り返されるのが話の速度を緩めてしまうし、何より時代の飛び方に一貫性がなく、時に分かり難さを生む。このあたりはファインズの演出家としての甘さが出た感。

 …とは言え、クライマックスの亡命シーンに辿り着けば、ファインズのコントロール力が再び冴えを見せる。ソ連に強制送還させられるのか、それともパリの地で亡命に成功するのかというサスペンスがあるのはもちろんだけれど、ファインズがもうひとつ強烈に意識したことがあるのではないか。それは未来を自身の手で掴み取ることの大きな意義だ。アートの世界には優れた才能がたくさんあるけれど、人の心を掴むには大きな代償と覚悟した上での思い切った決断が必要だ。ファインズは何よりそこに共鳴しているのではないか。





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