ねじれた家

ねじれた家 “Crooked House”

監督:ジル・パケ=ブランネール

出演:グレン・クローズ、クリスティナ・ヘンドリックス、
   ジリアン・アンダーソン、テレンス・スタンプ、マックス・アイアンズ、
   ジュリアン・サンズ、ステファニー・マティーニ、アマンダ・アビントン、
   オナー・ニーフシー、ジュリアン・サンズ、クリスチャン・マッケイ、
   プレストン・ナイマン、ジョン・ヘファーナン、ジェニー・ギャロウェイ

評価:★★




 とある大富豪が毒殺される。彼を取り巻く人物には皆動機があり、かつ怪しげな言動を見せる。男も女も老人も子どもも入り乱れる中、ひとりの探偵が送り込まれる。アガサ・クリスティは『ねじれた家』の原作を自身の最高傑作だと言っていたようだけれど、このプロットはミステリーとしてむしろありきたりの部類に入るだろう。

 物語の吸引力となるのはもちろん「フーダニット」という謎だ。ただ、それで引っ張るには人物描写が誰も彼もあっさり風味で物足りない。彼らはいずれも被害者と血縁関係にあるか、その配偶者であり、確かに恨み辛みを抱きやすいポジションにいる。それを活用した納得の動きを見せてくれるなら良い。どのそれもあからさまなミスリードに終始するのが問題だ。

 彼らの中に入り込む探偵にしても、特に特長のある人物ではなく、捜査を進展させるというよりは、観察者・目撃者の趣が強い。屋敷の人間がどう怪しいか、観る者に紹介する役割しか果たさない。かつて被害者の孫娘と恋愛関係にあったという設定も気持ち良いまでに無駄にされる。

 …となると、本来ドロドロした怒りや強欲、嫉妬、捩れた愛が渦巻くはずの大邸宅が、単なる殺害現場以上の価値をなさなくなる。美しい調度品に囲まれた大きな空間が、本当にただの箱と化すのだ。生活臭すら臭わないかもしれない。

 推理要素の強いミステリーを映像化するのは危険が伴う。原作通りに伏線を散りばめるだけでは、味気なく映るのだ。文字と映像では圧倒的に映像の方が情報力が多くなる。けれどそれは、情報を落とすタイミングを誤ると、ミステリーの底を割るか、或いは奥行きのない窮屈なものにしてしまうことでもある。ミステリーというより事件記録、それがこの映画の外観だ。

 それにしても結末は本当にこれで良いのか。真犯人(別段、意外でもない)が明らかにされ、ある寂しい展開がある。これが大変に唐突。しかも切り上げが、そこで終わるかという、気分が悪いだけのバランス感覚。本来漂うべき哀しみの余韻など、あろうはずがないのだ。





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