ある少年の告白

ある少年の告白 “Boy Erased”

監督・出演:ジョエル・エドガートン

出演:ルーカス・ヘッジズ、ニコール・キッドマン、ラッセル・クロウ、
   ジョー・アルウィン、グザヴィエ・ドラン、トロイ・シヴァン、
   テオドール・ペルラン、チェリー・ジョーンズ、フリー

評価:★★




 何に驚くって『ある少年の告白』に描かれる「同性愛矯正施設」なんてものが、今の時代も堂々存在していることだ。時代描写から察するに、ゼロ年代の話だろう。ルーカス・ヘッジズ演じるジャレッド少年18歳は、両親にゲイであることをカミングアウトしたことで矯正施設送りになる。「救済プログラム」などと謳っているのが、何とおめでたい。いや、恐ろしい。

 ジャレッドは実在の人物で、ベースとなるのは彼が執筆した回顧録だという。おそらく執筆の目的は施設の実情の糾弾だろう。ゆえに映画もジャレッドが受けるプログラム描写がメインになる。ところが、これがどうにもこうにもつまらない。

 ファミリーツリーの作成から入ったプログラムは、男らしい姿勢の作り方練習や体力作り(トレーニング)、宗教に絡めた強引な説教や儀式等、自己開発セミナー的空虚さで占められ、その実態を突き出せば突き出すほどに、バカバカしさしか残らないのだ。本当にこんなことで性的嗜好がチェンジすると?ホント、いつの時代だ。

 面白いのは(身を乗り出すのは)並行して描かれるジャレッドと両親の掛け合いだ。互いへの愛があるのは間違いないのに、施設介入をきっかけに脆く崩れ去ってしまう関係が切ない。母が施設の横暴に激怒し本音を晒す場面、或いは父が息子に不器用ながらも愛を伝える場面など、役者の名演もあって胸を打つ。

 ヘッジズ、ニコール・キッドマン、ラッセル・クロウが親子に扮する。ヘッジズの感情を出し過ぎない芝居がとても良い。端正な顔に動揺が走る様を丁寧に伝えるだけではない。若い身体にアイデンティティーへの苦悩を目一杯映し出す。キッドマンもクロウもヘッジズの演技に感染するかのように抑えたそれを見せる。静かな中に決して型通りにはならない人間の感情が立ち上がる。

 それならば思い切って、施設描写は前半で切り上げて、家族関係修復のパートを大きくしても良かった。施設から出た後のエピソードを眺める限り、そうする価値のある家族だ。それかジャレッドが同性愛を完全に自覚する瞬間を大きく取り上げてもイイ。ヘッジズがジョー・アルウィンと見せるエピソードはなかなかショッキングで、それだけで一本の映画が撮れそうではないか。





ブログパーツ

スポンサーサイト



テーマ : 映画感想
ジャンル : 映画

プロフィール

Author:Yoshi
Planet Board(掲示板)

旧FILM PLANET

OSCAR PLANET




since April 4, 2000

バナー
FILM PLANET バナー

人気ページ<月別>
検索フォーム
最新記事
カテゴリ
メールフォーム

名前:
メール:
件名:
本文:

月別アーカイブ
最新トラックバック
QRコード
QRコード
RSSリンクの表示
リンク
ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

Friends
福☆こもろ