ホテル・エルロワイヤル

ホテル・エルロワイヤル “Bad Times at the El Royale”

監督:ドリュー・ゴダード

出演:ジェフ・ブリッジス、クリス・ヘムズワース、シンシア・エリヴォ、
   ダコタ・ジョンソン、ジョン・ハム、ケイリー・スピーニー、
   ルイス・プルマン、ニック・オファーマン、グザヴィエ・ドラン

評価:★★★




 カリフォルニアとネヴァダの丁度州境に位置する『ホテル・ロワイヤル』に集まった訳あり客たちの物語。一室毎に出来事が紹介されていくので、クエンティン・タランティーノやロバート・ロドリゲスが参加した「フォー・ルームス」(95年)を思い出したのだけれど、どっこいこれはドリュー・ゴダード映画。とんでもホラーとして名高い「キャビン」(12年)こそ、そのテイストに通じるものがあるとするのが正解だろう。

 ゴダードはまず、癖のある登場人物を紹介することで興味を惹きつける。カウボーイ臭を漂わせる神父、無口なアフリカ系女、お喋りで失礼なセールスマン風男、いかにも小者な風情を具えたホテルマン…。彼らが意味深な言動を繰り返し、噛み合わない掛け合いを重ねることで、いつの間にかホテルの中心に不気味なブラックホールを創り上げる。

 散りばめるのは謎だ。彼らは何のためにここにやって来たのか。電話やコンセントの分解。剥がされる床板。隠し部屋とマジックミラー。流れ出すオールディーズ。過去や場所を飛び越える意識。彼らの一人ひとりの顛末を眺めると、物語上にも人物上にも構成上にも破綻が浮上する。けれどそれが欠点にならない。破綻の美とでも言うべき、奇妙な味わいが見えてくる不思議。

 絶妙にチープで胡散臭いホテルはしかし、謎のハンサム男の登場により、遂に本当の姿を現すではないか。そしてここからが、なるほどゴダードの腕の見せ所だ。彼が創造したブラックホールは謎を吸い込むばかりではない。吸い込んだものをエネルギーに新たなる混沌を生み出し、それに翻弄される人々を豪快に笑い飛ばすのだ。ポイントはズバリ、1969年という時代だ。

 リチャード・ニクソンが大統領に就任し、ヴェトナム戦争が激化・泥沼化。ヒッピーが街を闊歩し、カルト宗教が幅を利かせる。家族や犯罪の在り方が変容し、人種差別は依然消えることがない。ホテルの宿泊客は、さながら時代の被害者だ。同情するところがあるにせよないにせよ、彼らはこの時代だからこそ生まれた者たちで、ゴダードは彼らの七転八倒に社会の皮肉を映し出す。

 ただ、クライマックスの流れはどんでん返しと呼べるほどにはイメージの飛躍がない。「キャビン」より格段に演出が巧みになっているのは歓迎したいものの、何と言うか、インテリがスマートに遊んでみた風のお行儀の良さがあり、小さくまとめたように見えるのだ。ジェフ・ブリッジスやクリス・ヘムズワースらのパフォーマンスをもっと過激な方向に飛ばす作法もあったのではないか。惜しいところだ。





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