ハンターキラー 潜航せよ

ハンターキラー 潜航せよ “Hunter Killer”

監督:ドノヴァン・マーシュ

出演:ジェラルド・バトラー、ゲイリー・オールドマン、コモン、
   リンダ・カーデリーニ、ミカエル・ニクヴィスト、トビー・スティーヴンス

評価:★★




 「潜水艦映画に外れなし」と良く聞く。暗く深い海の中、決して広くない艦内という特殊な状況下はサスペンスを作りやすいためだろう。潜水艦を現実感たっぷりに描く、それに注意した演出がなされれば勝算はグッと大きくなるのだ。あぁ、それなのに、『ハンターキラー 潜航せよ』に潜水艦映画特有の興奮は見当たらない。ひょっとして作り手は潜水艦映画の名作「U・ボート」(78年)すら観ていないのではないか。

 そう思ってしまうのは、潜水艦内に全く圧迫感が感じられないからだ。深海の上に狭い艦内、これが乗組員たちの心を強く締めつける。サスペンスの軸にあるべきものが、やたら広々とした艦内での掛け合いの中に消えていく。魚雷の扱いにしてもあまりにも雑。やたら発射されてはアッという間に艦を傷つけていく。それともこれが現代の潜水艦事情ということなのだろうか。

 加えてこの映画、艦内描写だけで勝負しない。クーデターが発生したロシア本土と潜水艦に指示を送るアメリカ本土にもカメラを飛ばし、閉塞感・圧迫感から逃れようとするのだ。しかもクーデターが起こる地上アクション描写があまりに簡単に処理される。一国の大統領が容易く窮地に陥るのがバカバカしいし、アメリカ側の作戦に知恵がないのにも溜息が出る。つまり潜水艦映画としてはどうしようもない。

 ただ、潜水艦映画と思わなければ、まあ退屈はしないだろう。例えばアメリカ特殊部隊四人組の動きは極めて効率的に描かれる。作戦自体に面白いところは皆無でも、隊員たちの心情への踏み込み方への匙加減が程良く、加えてスピード感だけは殺さずに描かれるため、思いがけず少年ジャンプ的爽快感が出ているのだ。ちょっとTVシリーズ「24 TWENTY FOUR」的でもある。犠牲や忠誠心といったミニテーマもちゃんと伝わる。

 ジェラルド・バトラーも案外悪くない。目をぎらつかせ大声を張り上げてタカ派的愛国心を謳ういつものバトラーはいない。なんせホレ、艦内では大声で騒ぐのは命取り。敵にその位置を知らせることになるから、バトラーと言えど、暑苦しく正義感を振りかざすわけにはいかないのだ。ここでのバトラーは冷静沈着にコトを進めるデキるリーダーだ。

 アメリカ側のリーダーがバトラーなら、対するロシア側のリーダーはミカエル・ニクヴィストだ。ほとんどセリフはなく、捕らえられた身で毅然とした態度を維持するだけなのに、バトラーにちゃんと対抗する。ほとんど津川雅彦的雰囲気で、上に立つ者のあるべき姿を体現。彼を信用しても良いのか否か、それに頼るサスペンス作りは安易でも、その威厳が物語を破綻から救い出す。見られるB級映画に押し上げているのだ。





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