記者たち 衝撃と畏怖の真実

記者たち 衝撃と畏怖の真実 “Shock and Awe”

監督・出演:ロブ・ライナー

出演:ウッディ・ハレルソン、ジェームズ・マースデン、
   トミー・リー・ジョーンズ、ミラ・ジョヴォヴィッチ、
   ジェシカ・ビール、リチャード・シフ

評価:★★




 昨今の日米の政治ニュースを眺めていると、どうしても報道の自由、表現の自由、言論の自由について考える。品のない報道も少なくないとは言え、権力を持った国のトップが自分に都合の悪いメディアを積極的に排除して平気な顔をしているのだから。ロブ・ライナーがそれに異議を唱えたくなるのも当然だ。

 『記者たち 衝撃と畏怖の真実』の問題は見せ方、作法にある。悪の枢軸。大量破壊兵器。衝撃と畏怖。…こう書けば誰もがピンと来る。全世界震撼の9.11同時多発テロからアメリカのイラク進攻に至るまでの、壮大なる茶番劇だ。その顛末は良く知られているところで、ライナーは初めから政府の動きに疑問を持っていたナイト・リッダーの記者たちに狙いを定めつつ、メディアの重要性を訴える。

 ライナーの第一の過ちは、何故ナイト・リッダーが政府の情報を疑ってかかったか、それを示すことができなかった点だ。ニューヨーク・タイムズを始め各メディアが政府発信の情報を鵜呑みにした記事を次々発表する中、彼らは一貫してサダム・フセインとオサマ・ビンラディンの繋がりを疑う。よほど優秀な記者ばかりだったのか。騙される各メディアが愚か過ぎたのか。その原因を見せずして走り回るばかりでは、いくら正しくても説得力に欠ける。根拠なく奇を衒った報道がたまたま的中しただけなのではないかとすら見えてくる。

 記者たちに個性を持たせられなかったのも厳しい。ナイト・リッダーのトップはライナー、その下でウッディ・ハレルソンとジェームズ・マースデンが身を削り、そこに退役軍人のトミー・リー・ジョーンズが絡む。その構図は分かっても、彼らの姿に正義心しか見えないのは嘘臭い。…かと言って、ジェシカ・ビールやミラ・ジョヴォヴィッチを担ぎ出して私生活に踏み込むのは、丸っきり頓珍漢だ。

 9.11を目撃して軍入りを決める黒人青年のエピソードの破廉恥さも許し難い。愛国心ある者が結局犠牲になる。それを見せたいがばかりに、柔な感情論を放り込むべきではない。あくまで記者の視点に絞った話にするところに意義の出る映画だろう。

 物語は結局、クライマックスらしいクライマックスを迎えることなく終わりを告げる。最後までナイト・リッダーは無視され、終わってから彼らは正しかったと言われるのみ。その虚しさは伝わっても、そこにメディアの意義が浮かび上がるかというと…???これならばドキュメンタリーとして見せた方が得るところが多かったのではないか。





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