リヴァプール、最後の恋

リヴァプール、最後の恋 “Film Stars Don't Die in Liverpool”

監督:ポール・マクギガン

出演:アネット・ベニング、ジェイミー・ベル、ジュリー・ウォルターズ、
   ヴァネッサ・レッドグレーヴ、ケネス・クラナム、
   スティーヴン・グラハム、フランシス・バーバー、
   リアン・ベスト、トム・ブリトニー、ピーター・ターナー

評価:★★★




 グロリア・グレアムと言ったら「悪人と美女」(52年)が有名なのだろうか。「孤独な場所で」(50年)「復讐は俺に任せろ」(53年)あたりのファムファタールのイメージが強いだろうか。ただ、付け焼刃の知識で言うなら、二番目の夫ニコラス・レイとその前妻の間に生まれた息子との恋愛スキャンダルが強烈で、グレアムの人生を探るなら、実はこれこそが最も映画的な題材なのではないか。けれどどっこい、『リヴァプール、最後の恋』はグレアムと年下俳優ピーター・ターナーの恋に焦点が当てられる。お地味じゃなかろうか。

 そしてなるほど、地味な外観だ。グレアムは絶頂期をとうに過ぎているし、ターナーは駆け出しでスターの貫禄はない。出会いも、恋の成就も波乱も、そして別れも、それ自体に華はなく、そこにグレアムの病ネタが絡んでくるものだから、なおさらだ。けれど…。

 けれど、その地味さこそが慎ましさにも繋がる美点になる。1979年に出会ったふたりの瞬間的に燃え上がった恋。それを形作るふたつの魂の共鳴が丁寧に綴られる。楽しかった日々はターナーの回想という形で語られ、それゆえか、郷愁の風が心地良く吹く。たった2年前の何でもない出来事が、宝物のごとく輝く。

 派手なエピソードは出てこない。だから役者のケミストリーはより重要性を増す。ふたりの間に電流が流れなければ、全く退屈な画になるはずだ。アネット・ベニング(グレアム)とジェイミー・ベル(ターナー)の作り出すそれは、その点、抜群に勢いがある。年齢差云々ではない。惹かれ合う男と女ならではの可憐で美しいものが電流と一緒に走るのだ。

 とりわけ恋に戯れるベニングの説得力。映画界の荒波を生き抜いてきた女は、老いを受け入れ、だからこその肩の力の抜けたリラックスした佇まいが魅力的に映る。ベニングという女優に色気を感じたことはなく、妖艶だったグレアム役の今回も例外ではない。しかし代わりに、ここでのベニングは圧倒的に愛くるしい。

 ベースになったのはターナーの回顧録だという。だからだろう、ふたりの恋が過剰に美化されている気配はある。人間誰しもが持つ「醜」の部分がほとんど無視されるのは気恥ずかしい。ただ、それでも嫌な感触を受けないのは、話の背景に置かれた79年から81年の空気感(とりわけ音楽)と土地の魅力(ロサンゼルスも悪くないものの、やっぱりリヴァプール)にあるかもしれない。ふと立ち寄ったパブで話を聞かされているような、愛嬌があるのだ。





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