ダンボ

ダンボ “Dumbo”

監督:ティム・バートン

出演:コリン・ファレル、マイケル・キートン、ダニー・デヴィート、
   エヴァ・グリーン、アラン・アーキン、ニコ・パーカー、
   フィンリー・ホビンズ、ロシャン・セス

評価:★★★




 1990年代はティム・バートンの黄金期と言って間違いなく、ほの暗いその輝きをもろに浴びた者としては、ディズニーと組んだバートン・ワールドにはどうしても引っ掛かりを覚える。例えば、後半の舞台となるドリームワールドなる遊園地の陽気な気配。画面全体の毒気の抜けた色彩感覚。マイケル・キートン演じる拝金主義の興行師の一面的描き方。あぁ…。

 …と大袈裟に嘆きながら、それでもバートンが『ダンボ』に惹かれる理由は良く分かる。普通のゾウよりも耳が異様に大きいばかりに笑われ、嘲られ、挙句物を投げつけられるダンボ。そのはみ出し者的な存在は、いつだってバートンが気にかけてきたものだからだ。大体、「普通」って一体何なんだ。

 そう、バートンは寂しい心を持った者に優しい。彼らを取り巻く環境をシヴィアに描き出し、逃れられない苦しみや哀しみを掴まえながら、けれどそこにたっぷり愛を注ぐ。ダンボには理解者が現れ、ゆえに自分の才能を開花させ、そして次なるステージへ飛翔していく。ダンボに注がれる愛、共感に通じるその温もりこそが作品をまとめ上げる。

 ダンボを取り巻く移動サーカス団の描写にも、異形を愛するバートンの嗜好が如実に表れる。妻と片腕を失った馬乗り男。笑顔を見せながらも母の不在が寂しくて仕方ない少年少女。自分を見世物にすることで生きるしかない団員たち。一見金に弱いだけの団長もハートを具えていて、だからクライマックスのスペクタルが熱いものになる。

 キャストもバートンらしさが全開だ。少女役の子役のおでこの主張の強さからくる凛とした顔つきからしてバートン的で嬉しくなるし、団長役のダニー・デヴィートはあの独特の容姿を完璧に活かす。そして、何と言ってもエヴァ・グリーン。空中技を得意とする踊り子は、どうやらバートンの新しいミューズだ。美しさと妖しさの混合は目が釘付けになるほどに魅力的で、彼女がダンボに乗り空を飛ぶ場面には胸躍らずにはいられない。

 そしてもちろんダンボだ。実際のゾウをまじまじと観察すれば、ここまで可愛くはないはずで、けれどそれを感じさせない。漫画的でありながら、画面から決して浮かない愛くるしさ。ダンボは言葉を話さないものの、その心は手に取るように分かる。そして気がつけば、自分でダンボが何を思っているのか、心の中でセリフをつけてしまうのだ。ダンボはそう、確かにそこにいる。かつてに比べれば、闇や毒の密度は随分薄まった。それでもバートンの根っこのところは変わらない。ならば今のバートンを受け入れ、素直に世界観に浸る方が、断然幸せなのだろう。





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