ビリーブ 未来への大逆転

ビリーブ 未来への大逆転 “On the Basis of Sex”

監督:ミミ・レダー

出演:フェリシティ・ジョーンズ、アーミー・ハマー、
   ジャスティン・セロー、ジャック・レイナー、ケイリー・スピーニー、
   サム・ウォーターストン、キャシー・ベイツ

評価:★★




 ルース・ベイカー・ギンズバーグ(RBG)の名前は日本でも有名ではないか。70年代、性差別の撤廃を求めて戦った運動家。女性として二人目となる地位に上り詰めた最高裁判事。そして80代半ばにして現役という圧倒的ヴァイタリティ。『ビリーブ 未来への大逆転』はRBGの姿を通して、今なお解決しない女性の社会進出に横たわる問題を炙り出す。

 RBGはいかなる人物なのか。その身体を形作る凡人とは違う細胞がいちばんの興味になるのは当然で、けれどこれが意外なほど真っ当で、逆に驚く。男性社会の現実に傷つき、挫折し、それどころかそれを受け入れ、その十数年後にようやく立ち上がるRBG。あぁ、歴史のアイコンも同じ人間なのだ、ということか。

 ところが、男性社会に宣戦布告してからも、RBGに時代を突っ切るような勢いは感じられない。性差別を認めつつもそれが現実社会だと知る人々に囲まれ、大変お行儀良く、慎ましく、気品を忘れることなく正攻法の道を行くRBG。その普通の感性こそを大切にして物語を語りたかったのだろうか。

 けれど、それならば普通が武器になる瞬間があるべきで、RBGが成績優秀な努力家以上のものを発揮する原動力は絶対に探られなければならない。しかし物語は、RBGの初めてにして法律上非常に大きな意味を持つ裁判を扱いながら、ストレートに逆境に立ち向かう、普通の沼に足を取られたままだ。RBGが勝利の見込みなしと言われた裁判に勝つ、その説得力に欠けるのだ。RBG役のフェリシティ・ジョーンズがいかに良いスピーチを披露したとしても。

 RBGをサポートする夫、生意気盛りの娘の存在もテーマを見え難くする。アメリカ映画が伝統的に崇める、献身的な家族の価値観がRBGの大きな助けになったという主張が、差別撤廃を訴えるそれと相性がよろしくない。心温かい人々に守られてこそのRBGの肖像にすり替わりそうになる。夫役のアーミー・ハマーの立ち姿に惚れ惚れしている場合ではない。

 要するにこれは実話の罠にハマったということなのではないか。映画的誇張は避け、RBGの偉業にフォーカス、事実を間違えることなく丁寧に辿る。結果堅苦しさが前面に出た頭でっかちな外観になってしまった。個人的にRBGはユーモアのセンスが抜群、怪物的要素を具えた人物だと睨んでいるのだけれど、どうだろう。少なくともそちらの方が映画映えするはずだ。





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