ふたりの女王 メアリーとエリザベス

ふたりの女王 メアリーとエリザベス “Mary Queen of Scots”

監督:ジョシー・ルーク

出演:シアーシャ・ローナン、マーゴット・ロビー、ジャック・ロウデン、
   ジョー・アルウィン、ジェンマ・チャン、マーティン・コムストン、
   イスマイル・クルス・コルドヴァ、ブレンダン・コイル、イアン・ハート、
   エイドリアン・レスター、ジェームズ・マッカードル、
   デヴィッド・テナント、ガイ・ピアース

評価:★★




 『ふたりの女王 メアリーとエリザベス』という邦題が紛らわしいのだけれど、これは断頭台に消えた悲劇のスコットランド女王として知られるメアリー・スチュアートの物語だ。映画においてはライヴァルであるイングランド女王エリザベスの影に隠れがちな彼女にスポットライトを当て、その生き様を探る。

 ただ、この試みはあまり成功しているとは言えない。メアリーには様々な対立軸が用意されるものの、そのいずれもが曖昧描写に留まるか、説明不足ゆえ、メアリー自身の輪郭がはっきりしないのだ。カトリックとプロテスタントの攻防。王位を狙う側近(当然男たち)との駆け引き。そしてもちろんイングランド女王エリザベスとの確執。メアリーのそれぞれの問題に対する向き合い方に魅力が感じられない。

 すると浮かび上がるのはメアリーの幼さ、未熟さばかりになる。16歳でフランス王妃となり、しかし18歳で未亡人となったメアリー。映画は彼女の、時代を生き抜くしたたかさと永遠の少女性、それが同居する様を掘り下げようとするものの、ガッツはあっても気まぐれな政治手腕ばかりが前面に出るがゆえ、付き合うのがバカバカしく見えてくる。シアーシャ・ローナンの力を持ってしても、だ。

 マーゴット・ロビー演じるエリザベスはどうかと言うと、彼女はメアリーとは全く対照的な存在として描かれる。コインの裏表のようにな立ち位置にありながら、互いにどこか共鳴するものを持っている。それを見せるのがエリザベスの役割だ。出番は多くない。多くないけれどしかし、ゆえに必然的にポイントを抑えた描写だけに絞られ、かえって共感を覚えやすい。政治のために「男」になることを選ぶエリザベスの魅力が効率的に炙り出される。あら、ラッキー。

 クライマックスに用意される人里離れた小屋でのメアリーとエリザベスの対峙はだから、名シーンになりそうでならない。主人公であるメアリーよりもエリザベスの方に完璧に肩入れてしまうからだ。メアリーが子どもっぽい思考から抜け切れないのに対し、エリザベスは覚悟を決めた者にしか出せない哀しみや痛みを滲みませて凄みあり。ロビーの表情変化も大いに見応えがある。でもそれは演出が目指したところではないだろう。女王である者同士でしか持つことのできない一体感に似た何かが見えてこなければ、嘘だ。

 映像は間違いなく美しい。スコットランドの風景。細部まで念入りにデザインされた、派手さはなくとも緻密な衣装。大いに凝った複雑なヘアスタイル。そしてローナンとロビー、女優そのものから発せられる輝き。映画は女であること、しかも女王であることの難しさを説き、今の時代に通じる社会構造を風刺する。映像の美しさがそこに入り込むことができていたら。映像の美が、一貫して物語と分離したような気配があるのだ。





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