シンプル・フェイバー

シンプル・フェイバー “A Simple Favor”

監督:ポール・フェイグ

出演:アンナ・ケンドリック、ブレイク・ライヴリー、
   ヘンリー・ゴールディング、アンドリュー・ラネルズ、
   リンダ・カーデリーニ、ジーン・スマート、
   ルパート・フレンド、イアン・ホー、ジョシュア・サティーン

評価:★★★




 ある家庭の妻が失踪、夫に容疑がかかると書けば、今なら「ゴーン・ガール」(14年)を思い出すのが正解だろうか。確かに通じるところは多々あるのだけれど、それよりも強く血縁関係を感じるのはTVシリーズ「デスパレートな妻たち」(04~12年)だ。誰もが秘密を抱えていて、誰もが体裁を取り繕い、誰もが駆け引きを厭わない。斯くしてこんな言葉。「秘密はマーガリンのように薄く伸びて、身体に悪い」。

 けれど身体に悪いものは、得てして蜜の味がするものだ。子ども繋がりで仲良くなったふたりの母親の内、一人が失踪、その真相が探られる。極めて単純な展開で、でもそれを表面通り受け取って良いはずがない。いつしか美しい日常風景にどす黒いものが立ち込める。

 『シンプル・フェイバー』はこれをスリラー寄りではなく、コメディ寄りに描き出すのがミソ。世界観そのものが魅力だ。ダークな展開のバックで流れるフレンチポップス。物事を他人事としてしか見ない野次馬。リズミカルで捻りが利かされたセリフ。そして何より、主人公である母親の対比。アンナ・ケンドリックとブレイク・ライヴリーが完璧に役にハマる。

 まず目立つのは失踪するライヴリーだ。一流企業の広報担当で、どこから切り取ってもスタイリッシュな女。「ゴシップガール」(07~12年)のセリーナの親戚関係にあるような美しさで、憧れのセレブ生活の奥に入り込む。どこまでゴージャスにキメても、それに呑まれないスタイルと美貌あればこその佇まいが、役柄のダークな面を魅力的に輝かせる。

 そのライヴリーの隣に立つと、幼児体型が見事に露わになるのがケンドリック。もちろん狙った配役だろう。それなりに着飾っても子ども服を着ているかのような幼さがあり、ライヴリーのように格好良くは魅せられない。ただ、その必死な佇まいが優等生の枠から外れ、それどころかちょっと庶民の狂気のようなものを携えるのがポイントだ。次第に本当にこの女はまともなのだろうかと心配になる。

 再びライヴリーが姿を現してからは(そう、ライヴリー再登場は誰にでも読める)どんでん返しが連続する。ライヴリーとケンドリックの対比がますます生きる。ライヴリーの夫ヘンリー・ゴールディングも立体的になる。それぞれの過去や事件の真相も愉快に意地悪くウインクする。ただし、チープだ。そして、誤解してはいけないのだけれど、チープなのが一層魅力的なのだ。憧れの生活からヴェールを剥がしてみれば、生々しく俗っぽく欲望に塗れている。でも人生なんて、そんなものだ。決して一流にはなれない人間の哀しみと可笑しみが浮上する。傑作なんかではなくても、逃す手はない。





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