ザ・マウンテン 決死のサバイバル21日間

ザ・マウンテン 決死のサバイバル21日間 “The Mountain Between Us”

監督:ハニ・アブ=アサド

出演:ケイト・ウィンスレット、イドリス・エルバ、
   ボー・ブリッジス、ダーモット・マルロニー、ローリー、オースティン

評価:★★★




 ジャーナリストのケイト・ウィンスレットと医者のイドリス・エルバは知り合ったばかり。ふたりがチャーターしたセスナ機が雪山に墜落する。『ザ・マウンテン 決死のサバイバル21日間』には雪山遭難アクションももちろんたっぷり出てくるものの、ウィンスレットの視線がより重要視されているせいか、「どうせ遭難するならこんな人と…」的マニュアル映画のようだ。「タイタニック」(97年)の雪山版と言っても、あながち間違いではない。

 ロッキー山脈で撮影されたという大自然の迫力(特に青と白の対比)の中に浮かび上がるのは、男が女を守るという古臭い構図だ。何しろエルバなのだ。頼りない男のわけなんかない。医者らしく知識と大胆さを持ち合わせ、かつ紳士的な振る舞い。がっちりと逞しい肉体は見掛け倒しではなく、体力も生命力も抜群。怯えるウィンスレットを無駄口叩くことなく、守って守って守っちゃう。そりゃウィンスレットも惚れるわ。言っちゃなんだが、「タイタニック」ではレオナルド・ディカプリオに生き残るだけのタフさがなかったのだ。

 このメロドラマ的要素を隠そうともしないから、全てはふたりが愛を成就させるまでの障害に見えてくる。凍えるのような寒さ。アッという間に尽きる食料。襲い来るクーガー。滑る坂や行く手を遮る川。凍った湖。一難去ってまた一難。でもエルバと一緒なら大丈夫。クーガーがそのまま食料になったり、都合良く山小屋が出現しても、怒っちゃダメ。だって死んだらそこで話が終わっちゃう。

 実はウィンスレットは結婚直前で、エルバは離婚の痛手から立ち直れていないという設定も用意されるのだけれど、恋愛フラグはそれぐらいだ。後はもう、異常な状況下では恋に落ちやすいという例のジンクスを燃料にした愛が燃え上がる。喧嘩してもそれさえ燃料の足しにしてしまうふたり。美しい男女だから怒る気にもなれない。勝手にやっててくれい。

 作り手が心理ドラマを意識したことは、遭難場面が終わってからにたっぷり時間が取られていることからも明らかだ。ここで前面に出てくるのが世間が「分別」と呼ぶもので、全く持って面白くない。良い歳した大人だから雪山の出来事はふたりの中だけに留めておこうだなんて、はっきり言って、陳腐な心理と言える。そこに時間を割くぐらいなら、雪山サバイバルをもっとハードに見せ、かつ「そこまで耐えたのなら許す」とつまらない正論を吹き飛ばしてしまうほどの荒唐無稽な方向に振り切るべきだった。

 さて、主役ふたりの盛り上げ役は、名もなきイエローラブラドールだ。一緒に飛行機事故から生き残ったこのワンコロが、まあ本当に可愛らしく動く(ご都合主義に動くとも言う)。静かな山中で話し相手になるわ、獣から身を守るボディガードになるわ、役立ちそうな物を見つける探知犬になるわ。さっさと名前が与えられないのが納得行かない。影のMVPであるワンコロにぜひとも豪華な肉をあげるべきだ。なお、ワンコロはローリーとオースティンという名の二頭によって演じられたという。グッジョブ。





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