メリー・ポピンズ リターンズ

メリー・ポピンズ リターンズ “Mary Poppins Returns”

監督:ロブ・マーシャル

出演:エミリー・ブラント、リン=マニュエル・ミランダ、ベン・ウィショー、
   エミリー・モーティマー、ジュリー・ウォルターズ、
   ピクシー・デイヴィーズ、サナニエル・サレー、ジョエル・ドーソン、
   ディック・ヴァン・ダイク、アンジェラ・ランズベリー、
   コリン・ファース、メリル・ストリープ

評価:★★★




 実のところ、ジュリー・アンドリュースは贔屓の女優ではない。どんな風に着飾ってもスタイリッシュに演出されても、まとわりつく庶民性が好きになれないのだ。多くの人はおそらくそこに親しみやすさを見つけるのだろうけれど、時に生活と密着した庶民性は臭みを伴うものだ。ゆえに「メリー・ポピンズ」(65年)にも特に思い入れはない。

 しかし、メリー・ポピンズ(以下MP)は帰ってくる。世界恐慌時代のロンドン、もちろんバンクス家の教育係として。MP役をアンドリュースから引き継ぐのはエミリー・ブラントで、この配役がパーフェクトにハマっているのが『メリー・ポピンズ リターンズ』の何よりの強みだ。アンドリュース風庶民的臭みはほとんど抑えられ、かつ甘ったるさからも逃れている。上から目線の立ち居振る舞いが嫌味にならず、むしろ気持ち良い。

 ブラントのMPは砂糖の匙加減が絶妙なのだ。厳しい現実に背を向けないままに、ぶつかる何かへと次々かけられる魔法。砂糖の塩梅を間違えると、ベトベトの人情劇、或いは過度にドライな風刺劇になってしまうところを切り抜け、夢を信じるディズニーならではの世界観を一流エンターテイメントとして魅せる。

 ブラントは言わば、その座長だ。ピンと伸びた背筋と全てを見透かす眼差し。MPファッションに身を包めば可愛らしく美しく、かつ決して期待を裏切らない夢の使者となる。踊って歌って真理を説き、けれど説教臭はまるでない。バスタブに飛び込み、壊れた陶器を回し、さかさまの世界に立ち、もちろん傘を開いて空を歩く。どんな画にも対応してしまう肉体感度の持ち主がブラントだ。

 ロブ・マーシャルの演出は相変わらず間延びする部分が目立つ。せっかくだからとミュージカルシークエンスはいちいち長めで、しかも一曲の中で「欲張りな展開」がとても多い。そのため全体に抑揚が消えてしまったのは痛い。それなのに耳に残る楽曲パワー自体は控えめだ。ただ、ブラントの見せ方を間違えなかったことと当時の美術と衣装を品良く念入りに見せることで、退屈からは免れる。

 MPは子どもたちの教育係。しかし結局、彼らの父親とその伯母の心をも虜にしてしまう。「子どもの心」こそが重要なキーワード。かつて子どもだった大人たちが忘れてしまうものが物語の燃料。脚本がそのハートを掴まえることには失敗するものの、ブラントのおかげでそれを見失うことはない。そう、これはエミリー・ブラント ショーなのだ。





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