フロントランナー

フロントランナー “The Front Runner”

監督:ジェイソン・ライトマン

出演:ヒュー・ジャックマン、ヴェラ・ファーミガ、J・K・シモンズ、
   モリー・イフラム、アルフレッド・モリーナ

評価:★★




 アメリカの選挙戦は娯楽化、エンターテイメント化一直線。今に始まったことではない。大国の頂点を目指すため、あの手この手の作戦が繰り出され、醜い中傷合戦が繰り出されるのもお約束。『フロントランナー』の主人公ゲイリー・ハート上院議員が大統領を目指す選挙戦の最中、不倫スキャンダルをきっかけに失脚したのも、根本に同じ匂いが立ち込める。

 ただし、ジェイソン・ライトマンが狙いを定めるのは、政治的にもっとシリアスな部分にある。政治家としての活動とその私生活は切り離して考えるべきか否か、という酷くシンプルな問い掛けだ。ハンサムで長身、しかも掲げる政策に説得力を持っていたハート。彼は不倫を理由に政界から離れなければならなかったのか。

 ライトマンは政治家ハートの言い分と糾弾するマスコミの言い分、中立の立場に立つ…ように見せかけてはいる。ただ、結局のところ、ハートを同情的に見ていることは明白だ。せっかく国を変えてくれるかもしれない有望な人材。私生活なんて知ったことか。俺たちに関係ないじゃないか。わざわざ国民の64%が同じことを考えているというでデータまで提示する。

 それならば、あぁ、64%を詳細に分析することはできなかったのか。そのまま立候補すれば国民が支持を表明してくれるのではないか。いかに正論を掲げたとしても、64%という数字から見た国民の反応をそのまま受け取ることはできない。割り切れない部分がどうしても出てくる。だからこそのハートの失脚ではないか。

 そう、この映画は政治家とマスコミという分かり易い対立軸は用意しても、有権者の目線がどこにも見当たらないのだ。いや、64%という数字で満足しているのだ。だからずっともやもやとしたものが残るのだ。マスコミだって有権者が何の興味も示さないのであれば記事にしないだろう。政治家だってプライバシーと尊厳の保護を理由に私生活を守れないと思うから苦渋の決断をするのだろう。有権者の目線を無視することで物語の重層化を逃がしているように見える。

 皮肉なことに、物語はマスコミがハートの不倫を突き止めるあたりから盛り上がり始める。観客もハートの政治信念よりも不倫の行く末の方が気にかかってしまうのだ。ハートに扮したジャックマンは、所謂逆ギレ演技がいちばんの見せ場。怒りを見せれば見せるほどみっともなく映るという哀れな事態。ライトマンの狙いとの微妙なズレが、映画の輪郭をぼやけたものにしている。





ブログパーツ

スポンサーサイト



テーマ : 映画感想
ジャンル : 映画

プロフィール

Author:Yoshi
Planet Board(掲示板)

旧FILM PLANET

OSCAR PLANET




since April 4, 2000

バナー
FILM PLANET バナー

人気ページ<月別>
検索フォーム
最新記事
カテゴリ
メールフォーム

名前:
メール:
件名:
本文:

月別アーカイブ
最新トラックバック
QRコード
QRコード
RSSリンクの表示
リンク
ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

Friends
福☆こもろ