ヴィクトリア女王 最期の秘密

ヴィクトリア女王 最期の秘密 “Victoria & Abdul”

監督:スティーヴン・フリアーズ

出演:ジュディ・デンチ、アリ・ファザール、エディ・イザード、
   アディール・アクタル、マイケル・ガンボン、オリヴィア・ウィリアムス

評価:★★★




 コスチュームプレイだと身構えてしまう。宮廷物だと身体が強張る。それでも『ヴィクトリア女王 最期の秘密』はオープニングから快調に飛ばす。1887年、ヴィクトリア女王の即位50周年式典での金貨贈呈役に選ばれたインド人青年アブドゥルがイギリスにやってくるまで。ヴィクトリア女王の顔をなかなか見せないのも、狙い通り、効いている。監督はスティーヴン・フリアーズ。相変わらず演出テンポが良い。

 最大のポイントはヴィクトリア女王を演じるジュディ・デンチが可愛らしいことだ。それはデンチ史上最高の可愛らしさと言っても、あながち間違いではないほどで、夫を亡くして以来傷心の日々を送るヴィクトリアが、アブドゥルと出会うことで、どんどん生き生きしていく。その溌剌とした表情が少女を思わせるのだから、デンチ先生、さすがでございます。

 当然意識されるのはコメディだ。ヴィクトリアの凍った心を溶かすのはアブドゥルの真っ直ぐで嘘偽りを見せない佇まいで、あぁ、これはフランス映画「最強のふたり」(11年)と同じパターン。過剰な遠慮や鬱陶しい体裁に縛られていては、心は繋がらない。ヴィクトリアが屈託ないアブドゥルの世界に降りてきて、アブドゥルはそれを嫌がることなく受け入れる。正直なハートは見ていて気持ち良く、普段から何かしらのオブラートに包まれた時間に生きる者には可笑しく映るのだ。

 ヴィクトリア女王じゃなくても身を乗り出すのは、アブドゥルが紹介役となるインドならではの習慣や風習だ。宮廷に少しずつインド風味が加わるのが微笑ましい。ただでさえ豪華な装飾が一層ゴージャスに見える。主役ふたり以外、つまり宮廷職員や皇太子、首相たちがインド青年の思いがけない出世(?)にあたふたするのも楽しい。とりわけオリヴィア・ウィリアムスが見せる表情、絶品。

 それにしても青年を演じるアリ・ファザールは天晴れ。自分たちと違う者を排除することを躊躇わない不寛容な宮廷の中(もちろん現代社会を映し出している)、デンチの「愛」を一身に受けても、その笑みにただの一滴も濁りを感じさせないのだから。デンチとは見た目の相性も良く、インド風衣装もさすがにお似合いだ。

 ただ、この濁りのなさは、どこかで感じる物足りなさの原因かもしれない。アブドゥルの「良い人」の側面が強調されるばかりで、やや子どもっぽく、幼く見えるときがある。青年が良い人なりに持っている心の闇を浮上させ、その上で結ばれた女王との絆であるならば、さらに説得力が出たのではないか。それからアブドゥルが英国を去ることになる際の描写の後味の悪さは、全体のバランスを考えると首を傾げるところだ。





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