サスペリア

サスペリア “Suspiria”

監督:ルカ・グァダニーノ

出演:ダコタ・ジョンソン、ティルダ・スウィントン、ミア・ゴス、
   クロエ・グレース・モレッツ、ルッツ・エバースドルフ、
   ジェシカ・ハーパー、アンゲラ・ヴィンクラー、
   イングリット・カーフェン、エレナ・フォキーナ

評価:★★★




 ルカ・グァダニーノと言ったら、その独特の美的感覚を画面に映し出す名手。今やイタリアを代表する映画監督なわけだけれど、なるほど彼がホラーを手掛けるというのに納得する。昨今は巨大音とショッキングな画を連発するだけのそれが量産されているものの、本来ホラーは恐怖と美が優れた密着を見せたときにこそ、味わい深くなるものだからだ。グァダニーノならではの恐怖と美の競演が見られるかもしれない。

 そうしてグァダニーノが選んだのは「サスペリア」(77年)のリメイクだ。いや、オリジナルの設定だけを借りたとする方が正しいか。とある舞踏劇団の中で起こる怪事件。その設定こそ受け継がれているものの、換骨奪胎、大胆不敵な物語の再構築は、もはやオリジナルと認定して文句をつける人は少ないのではないか。

 グァダニーノ映画にしては色は抑えめ。身体も凍りつく冬景色、暖房もあまり利いていないように見える空間の中、人の体温だけが熱を帯びている印象で、それゆえに色は美しくも地味。ただ、出すべきところは出すのがグァダニーノ、『サスペリア』と言ったら赤のイメージが強く、クライマックスでは画面いっぱいに赤を満たす大サーヴィス。

 わざわざ舞台を1970年代のドイツに選んでいるのも、らしい。テロが続発し、ナチスの影がまだちらつき、社会は分断の様相。そこに放り込まれるのが「過激思想の魔女たちによる分断」であり、比喩的エピソードや描写が連続する。若い魂がそこでは「餌」として動く様は、深読みしようとすればいくらでもできる余白が用意され、余計な説明をすることなく画に賭けるのがグァダニーノだ。

 劇団の演目はバレエと呼ぶには相当前衛的。パンツ一丁の身体に赤い紐を巻きつけての発表会など、バカバカしさが前面に出てもおかしくないのに、その格調高い画も手伝って、なんだかとんでもない芸術を見せられている気分になる。女優たち皆、よくやるじゃないの。ある人物の身体の動きに合わせて、狙われた肉体が捩れに捩れ悲鳴を上げる様も、恐ろしくも一定の美があるのがスゴイゾ。

 …という感心はしかし、いつしか「とんでもない芸術」と言うか、「とんでも映画」の間違いではないかという気分を誘う。でもそれが楽しい。「ヘレディタリー 継承」(18年)でもクライマックスの儀式にその匂いがあったのだけど、ここでも同様。本当の本番は、殺戮の舞踏会が描かれるクライマックス。姿を現した大物魔女が下す鉄槌が痛快で、でも何だか笑ってしまうんだよなー。文学ホラーなんて書くとしゃらくさいけれど、グァダニーノはそれを掲げながらも嫌味は感じさせない。観客の目も忘れていないのだ。





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