ミスター・ガラス

ミスター・ガラス “Glass”

監督:M・ナイト・シャマラン

出演:ジェームズ・マカヴォイ、ブルース・ウィリス、
   サミュエル・L・ジャクソン、サラ・ポールソン、
   アニヤ・テイラー=ジョイ、スペンサー・トリート・クラーク、
   シャーレイン・ウッダード、ルーク・カービー

評価:★★




 「スプリット」(16年)に引き続き20を超える人格を操るジェームズ・マカヴォイが楽しいの何の。丸刈り頭頂部が薄く見えなくもなく、オッサン化が止まらないのには動揺しつつ、あぁ、それでもマカヴォイの見せる複数人格の演じ分けに胸躍る。ビーストという最も狂暴な人格になった際の肉体の動きも見ものだ。視覚効果も今回は補助的使用が大部分で嫌味から逃れている。

 『ミスター・ガラス』は「スプリット」が実は「アンブレイカブル」(00年)の世界観と地続きだったという設定で、ケヴィンを基本人格とした多重人格者(マカヴォイ)が、「アンブレイカブル」に登場した不死身の肉体を持つデヴィッド(ブルース・ウィリス)と身体は哀れなほど脆いが頭の切れるイライジャ(サミュエル・L・ジャクソン)に対面する。M・ナイト・シャマランがいつからこの設定を考えていたのかは定かではないものの、企画としては昨今流行りの激突物、「アベンジャーズ」的匂いが濃い。この不敵な試みがシャマランを昔の頓珍漢時代に引き戻したのは皮肉と言えようか。

 前半のほとんどが世界観の結びつけに割かれるのが大いに退屈だ。研究名目で捕らえられた三人の超人・怪人たちが己の力を披露し、続いて今置かれている状況を理解する。これがシャマランお得意の意味ありげで、しかし別に何の力にもならない構図の連発で描かれる。見たいのは三人の激突だというのに出し惜しみ。サーヴィスが悪いよ。

 それに外見的にも内面的にも強烈な個性を持つマカヴォイに対して、ウィリスとジャクソンのキャラクターが弱過ぎる。「アンブレイカブル」は現実世界にヒーローを登場させたらどうなるか、コミックのお約束を大真面目に語った映画で、つまり現実感が失われてはアウトな世界観だ。そこにモンスターなマカヴォイが現れるものだから、ベースが普通の人であるウィリスやジャクソンがその影に隠れてしまうのも当然なのだ。

 後半ようやく、三人が動き出す。ここで明らかになるのはシャマランのコミックワールドへのこだわりで、そのルールに縛られた展開が次から次へ。シャマランの得意顔が浮かぶようだけれど、そもそも強引なふたつの世界観の融合だったわけで、荒唐無稽な魅力を決して掴まえることのできない中途半端さに支配される。やることなすこと、こじつけや言い訳に見える不幸。最後のオチもシャマラン映画らしく、「だから何なの」としか言いようがない。

 わざわざ捻りなど加える必要などなかった。素直に「スプリット」の続編としてマカヴォイを大暴れさせれば良かったのに。「スプリット」からはマカヴォイに監禁されたアニヤ・テイラー=ジョイも再登場する。彼女のキャラクターを大きく膨らませれば、新たなる世界観の扉が開けそうじゃないか。例えばマカヴォイとテイラー=ジョイのラヴストーリーなんて、どうだ。マカヴォイの多重人格パフォーマンスも存分味わえたはずだ。





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