マイル22

マイル22 “Mile 22”

監督:ピーター・バーグ

出演:マーク・ウォルバーグ、ローレン・コーハン、イコ・ウワイス、
   ロンダ・ラウジー、ジョン・マルコヴィッチ

評価:★




 映画に血圧なんてものがあるなら、『マイル22』のそれは間違いなく高い。常時200以上という異常な数値。最初から最後まで上の値が150を切ることなく推移する。ピーター・バーグ監督が狙い撃ちするのは、まさにそこ。「圧」こそがイノチ。

 バーグは「圧」を畳み掛けることで映画の肉体に熱をもたらそうと試みる。常に緊迫感に晒されるCIA機密特殊部隊の任務。その遂行のためには時に犠牲になる命。それでも職場を放棄することなく敵に立ち向かう隊員たち。テロ時代、見えざる敵と戦うということはこういうことなのだとでも言いたげだ。姿形なき「圧」が人の身体を掴んで離さない。

 ただし、「圧」は緩むところを効果的に作らないと、次第にその身体に毒を通してしまうことにはもっと敏感になるべきだったのではないか。バーグは「圧」にこだわるあまり、映画という芸術がもたらすマジックを見失う。ハイテンションな画の連続がいつしか、観る者の神経をも消耗させ、ショックがショックに見えなくなるというバカげた事態を引き起こしているのだ。どれだけ血が流れても何も感じなくなる。

 パワハラ、セクハラ、モラハラお構いなしのリーダーを始め、登場人物は皆血の気が多く、睨みを利かせてマシンガンを連射するのみ。常にどこかで銃弾が火を噴き、爆発が起こる画面の連続。それがなければ、思わず耳を塞ぎたくなるダーティな言葉で埋め尽くされる。長くて5秒もすれば次の画に切り替わる編集は、まるでそれがなければ息ができなくなるとでも思っているみたいだ。演出過剰なんてレヴェルではない。

 画を眺める、ただそれだけが苦行と化す中、そうして導き出される結末には唖然。どんでん返しを狙ったは良いけれど、不快さしか残らないという虚しい事態。そういう時代に生きている。そうかもしれない。けれどそこに至るまでをゲームでもお目にかかれない地獄絵図として見せておいて、突然冷静になられても…というものだ。ただひたすらにゲンナリ。

 全ては「圧」を推して「熱」に逃げられた結果だ。しかし、そう斬り捨てるだけで惜しいのはイコ・ウワイスの存在だ。とある場所で手が不自由な状態でアクションを見せる場面から、身体の動きが常人離れしていることが丸分かり。何故彼を前面に置いた正統派のアクションにしなかったのか。額のシワがいよいよすごいことになってきたマーク・ウォルバーグとの対決、素直に見せてくれた方がよっぽど気が利いていただろう。





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