蜘蛛の巣を払う女

蜘蛛の巣を払う女 “The Girl in the Spider's Web”

監督:フェデ・アルヴァレス

出演:クレア・フォイ、スヴェリル・グドナソン、ラキース・スタンフィールド、
   シルヴィア・フークス、スティーヴン・マーチャント

評価:★★




 リスベット・サランデルを演じるのは、クレア・フォイで三人目だ。スウェーデン版(09年)はノオミ・ラパス。デヴィッド・フィンチャー版(11年)はルーニー・マーラ。そしてフェデ・アルヴァレス版がフォイだ。全く何の共通点も見出せない三人の女優たち。…となると、その違いを楽しむというよりは(大きく違って当たり前だ)、話の面白さで勝負、ということになる。女優の個性に合った話が用意できるだろうか。

 アルヴァレスは「死霊のはらわた」(13年)で出てきたように、ホラー的ヴィジュアルの凝り方に偏執的な興味を示す人だ。…というわけで『蜘蛛の巣を払う女』には目に焼きつくヴィジュアルが多い。バスタブの上で燃え上がる炎。凍った湖の上を疾走するバイク。違うビルのエレヴェーター越しの再会。ゴムスーツからの覚醒。真っ赤な悪女。

 これはいかにも映画的な見せ方ではあるのだけれど、画を完成させるため、奇抜さとは程遠く庶民性が色濃いフォイを真ん中に放り込むことで、かえって地味に見えるのは損だ。フォイに力がある分、地味方向にヴィジュアルが引っ張られるのだ。リスベットは元々表情豊かなキャラクターではないし…。

 そのフォイはと言うと、所謂刈り上げカットで登場。ちょっと若き日のショーン・ヤングを思わせるところもあるのだけれど、それよりもワカメちゃん的子どもっぽい雰囲気が前面に出た感。スタイルも別段よろしくないので、画的な面白さは少ないと言って良い。アルヴァレスにとってこれは予想外の結果なのではないか。

 …というのも、今回のリスベットはアクションの見せ場が多く、せっかくスケールの大きなパフォーマンスが出てきても、スタントが丸分かりだったり、いかにもこじんまり見えたり、バランス感覚と迫力に欠けたチープな印象が強いのだ。とりあえずやってみました、みたいな。

 それにリスベットと双子の妹のドラマとしてもあっけない(実はこれこそが作品のテーマだ)。変態の父親の下に生まれた姉妹の対照的な生き方。その再会に付随するドラマが、スウェーデンの寒々しい風景に呑み込まれてしまった。冷たい中に燃え盛る情念の炎を感じたかったところだ。





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