アリー スター誕生

アリー スター誕生 “A Star Is Born”

監督・出演:ブラッドリー・クーパー

出演:レディー・ガガ、サム・エリオット、
   アンドリュー・ダイス・グレイ、デイヴ・シャペル、
   アンソニー・ラモス、ラフィ・ガヴロン、アレック・ボールドウィン

評価:★★★★




 もう何度目の映画化になるのだろう。正式にリメイクと謳われていなくても、明らかにこの話をベースにした作品は少なくない。大スターに見出された若い卵が、大スターが転落していくのを見ながら、自らは空高く舞い上がっていく。奇を衒ったところのない、もはや永遠の古典と言うべきストーリー。ベタとも言えるだろうか。それならばベタを魅力的に飾り立てるものが欲しい。

 『アリー スター誕生』のいちばんの売りは、断るまでもなくレディー・ガガだ。21世紀を代表するポップクイーンはしかし、演技ができるだろうか。そんな心配をいとも容易く吹き飛ばす魅力的な存在感。完全に「女優」の顔なのに驚く。これまで演技に挑戦してきた歌手を思い浮かべれば、ガガの風格ある表情は抜きん出て素晴らしい。歌唱力はもちろん抜群、特筆すべきはその声が、人生という名の空間に実に気持ち良く響くことだ。声の鳴りが並ではない。

 相手役も務める監督のブラッドリー・クーパーは、ガガのこの類稀なる才能を見抜く。ライヴシーンを見ると良く分かる。クーパーは観客席からガガを捉えず、一貫してステージ上、極めて近いところからガガを撮る。ガガの小さくない鼻を何度も映し、見開かれた目の表情を眺め、横顔に執拗に拘る。つまりガガをじっくり見つめることを譲らない。

 シーンは一つひとつが意味を持つ。そして、編集が焦りを見せることはない。大胆な省力は少なくなく、時間はどんどん流れていくものの、決して急ぎ足ではない。ワンシーンに情報がたっぷり落とし込まれ、登場人物の感情のグルーヴはダイナミック、それが時間と密着することで、ストーリーに大きな流れを創り出す。ふとクリント・イーストウッドの演出を思い出す。クーパーはイーストウッド映画に出ている。偶然だろうか。

 楽曲が物語の鍵を握ることは間違いない。男と女の心情を雄弁に語ると言っても、単純に気持ちを説明するだけではない。全ての出来事が未来に繋がっていく、その意味を確信した楽曲が、人生の高揚と翳りを知る歌声と共に並ぶのだ。とりわけ「Shallow」の素晴らしさよ。人生の痛みや苦しみも、それを己の身体に落とし込むことで、新たなステージに進むことができる。ガガのパフォーマンスが語り掛ける。そういう意味で考える。ヒロイン、アリーが本当の意味でスターになった瞬間はいつだろうか。

 ところで、この物語が美しいのは、どこまでも男と女、ふたりのラヴストーリーの道筋から離れないからだ。それはスター云々といったスケールの大きなところとは、あまり関係ない。ふたりの目が初めて合う場面が素晴らしい。一目で恋に落ちる瞬間が焼きつけられている。その後の波乱万丈も、全てはこのときから始まった。大音量の音楽が流れる中、その恋が上げる産声の小さなこと。小さなそれはしかし、他のどんなものよりも人生を豊かにする。人生賛歌が力強く満ち溢れる。





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