マイ・サンシャイン

マイ・サンシャイン “Kings”

監督:デニズ・ガムゼ・エルギュヴェン

出演:ハル・ベリー、ダニエル・クレイグ、ラマー・ジョンソン、
   カーラン・KR・ウォーカー、レイチェル・ヒルソン

評価:★




 そうか、あのLA暴動からもう25年以上経つのか。アメリカの悪しき歴史の一部となった出来事。『マイ・サンシャイン』はそれを描きつつ、本来無関係のところから翻弄される家族を見つめる。人間の愚かさ、無力、傲慢さを突きつけながら…ということらしいのだけど、何だか黒人に対して自業自得じゃないかと思わせる語りはどうなんだ。

 そうなのだ。無抵抗の黒人を警官たちが殴り続ける、今なお強烈なあの画(資料映像として提示)からは、おぞましき人種差別と密着した憎悪が感じられるものの、その他の混乱の画には因果応報の言葉しか浮かばないのだ。平然と悪びれることなくなされる盗み。無邪気に降り注ぐ暴力。コミュニケーション代わりの悪態。気まぐれで意味のない挑発。おそらく誰が良い悪いではないということを言いたいのだろうけれど、そういう生き方しかできない社会の闇には無視を決め込む。

 すると、善悪の判断ができない者たちの狂乱ショーの趣が前面に出る。混乱に乗じてストレス発散。でもそうさせるのが悪いんだと言い訳しながらの暴走の数々。巻き込まれる善人であるハル・ベリーやダニエル・クレイグからすら、その気配は立ち上がる。ベリーやクレイグの焦燥や絶望を感じて欲しいという、共感を求める作りが、大きな歪みを生む。

 おそらく作り手も、もはや何を伝えたいのか、分からないままの編集だったのではないか。慎ましく暮らしたいだけなのに、それが暴動をきっかけに脆くも崩れていく。そこからイメージを膨らませることができず、それが単純な背景と化す。ただただ誰もが我を忘れる悪夢としてしか見せられない。

 しかも、この悪夢にはメロドラマも漏れなくついてくるのだ。ベリーは事情により親のいない子どもたちを次から次へと引き取る生活。長男的ポジションの少年は恋をして、それゆえに苦悩する。隣人はぶっきら棒で、でも実は心根が優しい。つまり、彼らは健気だ。健気が悪意に傷つく。その傷を執拗に弄るやり口が無神経だ。

 それならばLA暴動など絡めず、黒人シングルマザーと彼女を影ながら見守る白人男のラヴストーリーにすれば良かったのに。唐突に始まるベリーのスケベエな夢は何かの冗談でしかないし、終幕突然優しさを大放出するクレイグはほとんどギャグだ。少年の初恋の顛末も、それに伴走するかのように行き当たりばったり。永遠に続くかのような87分だ。





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