グリンチ

グリンチ “The Grinch”

監督:ヤーロウ・チェイニー、スコット・モシャー

声の出演:ベネディクト・カンバーバッチ、キャメロン・シーリー、
   ラシダ・ジョーンズ、キーナン・トンプソン、アンジェラ・ランズベリー

評価:★★




 文学界(?)のクリスマス嫌いと言ったら、エベニーザー・スクルージとグリンチがツートップだろう。イルミネーション・スタジオが取り上げるのは後者だ。かつてジム・キャリーによる実写版(00年)も作られたものの、ドクター・スースの絵本から飛び出したキャラクターだから、なるほどアニメーション向きと言える。

 何よりも胸躍るのは、クリスマスカラーだ。これは何も『グリンチ』に限ったことではないけれど、クリスマスと言ったら、赤と緑、そして白。この三色を上手に組み合わせれば、アッという間にクリスマス気分がもたらされる。イルミネーション映画のカラーと言うと、ミニオンの黄色がパッと思いつくものの、それには及ばないにしても、クリスマスの色が美しく愉快にバランス良く切り取られる。CGアニメーションもここではプラスに働く。

 そもそもグリンチがこの三色によって成り立っている。身体は緑の毛に覆われているし、マフラーは赤と白のボーダー柄。クリスマス嫌いを公言しても、いつの間にかクリスマスを引き寄せているグリンチだ。その正体が何なのか分からないグリンチの造形も、この三色カラーに合っている。とりわけ緑の毛並みがもふもふで気持ち良さそうだ。アクション場面で身体が良く動くのも良い。

 問題は、イルミネーション映画ではありがちな傾向だけれど、ストーリーにある。グリンチがクリスマス嫌いになった理由、そしてそれを反省して人に優しくなる理由が弱い。原作は絵本、その世界をそのまま差し出すのではなく、深く掘り下げる作業がなされないと、大人は鼻白んでしまうというもの。

 同様にグリンチがクリスマスを盗み出すというやり口もイマジネーションに欠けるのではないか。街に溢れるクリスマス関連のグッズを片っ端から失敬するだけでは芸がない。普段から捻くれ者のグリンチの描写も、意地悪具合が中途半端で、憎たらしさよりも愛らしさの方がまだまだ勝つのだ。子ども向けの世界観から抜け出せない。

 結果映画は、予定調和の教訓話になった。グリンチがクリスマスディナーに呼ばれるラストシーンに大いに拍子抜けする。そこは町の人々が大勢集まり、プレゼントと料理と音楽が溢れる、温かな空間。グリンチはそこで何か彼らしい騒動を巻き起こすかと思いきや、ゲストに向かって優しい挨拶。真面目か!いや、こういう流れだから、子どもたちに見せる映画として安心なのか。冒険心に欠けるとは言ってはいけないのだ。多分。





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