おとなの恋は、まわり道

おとなの恋は、まわり道 “Destination Wedding”

監督:ヴィクター・レヴィン

出演:キアヌ・リーヴス、ウィノナ・ライダー

評価:★




 ロマンティック・コメディをこんな洒落た風に撮る自分ってスゴイ。作り手のそんな得意気な顔が浮かんでくる映画だ。『おとなの恋は、まわり道』のことだ。登場人物はたったふたり。彼ら以外にセリフのある役はなく、ひたすらその掛け合いを追いかける。

 何だか「ビフォア」シリーズの偽物みたいな設定であることに、作り手は気づかない。カメラを固定したり、長回しを多用したり、ちょっと芸術映画を気取ったところがあるぐらいで、それが観る者の苛立ちを誘うことに無視を決め込む。主人公ふたりをナルシシストとして紹介するものの、いちばんのナルちゃんは物語の裏側にいる。

 悲劇はセリフのつまらなさから始まった。喧嘩しながら距離を縮めていくというロマコメの定番を守りながら繰り広げられる会話は、毒を入れれば笑えると思っている程度の、社会構造を意識すればスマートに見えると思っている程度の作り込みで、その関係性を深める説得力を持たない。最初は順番の列を守る守らない、続いて菓子の袋が開けられる開けられない、その程度の口論が延々続くのだから。

 当然そんな会話で満足する男女が魅力的であるはずがなく、不幸自慢で場を持たせることに終始、インテリを装った、ユーモアを狙った言葉に酔いしれるのが、その得意技だ。キアヌ・リーヴスとウィノナ・ライダー、久々の共演がこれかよ!念のため断ると、クエンティン・タランティーノ映画的な無駄話の魅力は露ほどもない。

 ふたりがめっきり老け込んだのは仕方ない。仕方がないけれど、こんなにもオーラを消失させなくても良いじゃないか。リーヴスはどの場面も清潔には見えない髭が前面に出てくるし、ライダーはずっと眉間にシワを寄せるだけで満足している。ふたりが一緒に画面に入る、他に工夫の跡が見られない、それだけの画が並べられる。それともリーヴスとライダーがオーラを失ってしまったということなのか。

 ライダーが失望を表現するために、ガクッと首を折り、テーブルに額をぶつける場面がある。あぁ、絶頂期の、格好良かった頃のライダーでは考えられない演技だ。だけれど、あぁ、本当の踏み絵的場面はその後に出てくるのだ。ふたり以外誰もいない原っぱでセックスするエピソード。リーヴスがライダーに折り重なった上半身ショットを画面左に置いた、「行為」場面がそれだ。合体の間中、ふたりがずっと喋り続ける画が、いっそ恐ろしいのだ。もちろんセリフはますますバカ。カメラはやっぱり得意気に動かない。あぁぁぁぁぁ…。





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