マダムのおかしな晩餐会

マダムのおかしな晩餐会 “Madame”

監督:アマンダ・ステール

出演:トニ・コレット、ハーヴェイ・カイテル、ロッシ・デ・パルマ、
   マイケル・スマイリー、トム・ヒューズ、
   スタニスラル・メラール、ジョゼフィーヌ・ドゥ・ラ・ボーム

評価:★★




 映画における晩餐会という言葉には、楽しく、けれどどこか不吉な響きがある。誰もが綺麗にめかし込み、その高級ドレスや高級スーツの裏側には、人には見られたくないものが潜んでいる。フランス、パリに移住してきたアメリカ人夫妻による『マダムのおかしな晩餐会』では、出席者が手違いで13人になってしまったことから、妙な事態にハマり込む。

 13という数字を嫌った妻がメイドを14人目の出席者として潜り込ませるのだ。…となると、誰がメイドを演じるかがポイントで、ペドロ・アルモドヴァル映画の常連ロッシ・デ・パルマというのがサイコー。スペインのアンジェリカ・ヒューストンと呼んで差し支えないデ・ロッシの、身体も大きければハートも大きな佇まいが、お高く留まった上流社会に蹴りを入れる。したがってこの映画は、デ・ロッシがゴージャスな装いでマイペースぶりを見せる前半の晩餐会場面が最も面白い。

 緊張のあまりアルコールに酔ったデ・ロッシが下品なジョークを連発、でもそれがいつもとは違った親しみの持てる空気を創り上げる。この際、デ・ロッシの立ち居振る舞いに嫌味が全くないのが大切で、だからたまたま隣の席に座った英国紳士(演じる俳優が大したことない)が彼女に惚れてしまっても全く不思議じゃない。

 映画は真実を打ち明けるタイミングを失ったアメリカ人夫妻の困惑の姿に、人間という生き物の傲慢さや身勝手さ、せせこましさを映し出していくのが狙いなのだけど、そしてそれは演じるハーヴェイ・カイテルとトニ・コレットの巧さもあり(とりわけコレットが小技を連発)、ちゃんと伝わる。ただ、もっと見ていたいと思わせるのはデ・ロッシの恋の顛末だったりする。誤解を恐れずに言うなら、デ・ロッシの顔はパブロ・ピカソの絵みたい。でもちゃんと可愛いのだ。

 コレットはデ・ロッシが幸せそうなのが気に喰わない。似非リベラルの本領発揮と言ったところなのだけど、段々その冷たい態度が可笑しいのではなく、不快になっていくのは困りもの。ここは笑いが切れてはダメな展開だ。パリの魔法はデ・ロッシだけに集中してかけられている感。

 それと作り手の狙いがあからさまに透けて見えるのははっきりと野暮と言える。いかにもインテリがで考えた構図に落とし込まれた人間関係。そもそもパリが舞台なのも際どいところで、未だにパリに対するコンプレックスを持つ人々がいる現実を突きつけているみたい。おそらく多くの人のパリへの幻想は格段に薄まっているはずだ。





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