Merry Christmas!/ロンドンに奇跡を起こした男

Merry Christmas!/ロンドンに奇跡を起こした男 “The Man Who Invented Christmas”

監督:バハラット・ナルルーリ

出演:ダン・スティーヴンス、クリストファー・プラマー、ジョナサン・プライス、
   ドナルド・サンプター、モーフィッド・クラーク、マイルス・ジャップ、
   サイモン・キャロウ、ジャスティン・エドワーズ、ミリアム・マーゴリーズ、
   イアン・マクニース、アナ・マーフィ

評価:★★




 「オリバー・ツイスト」発表後、スランプ真っ只中にあるチャールズ・ディケンズが、冬になると思い出すあの物語を書き上げるまで。あの物語とはもちろん「クリスマス・キャロル」のことだ。誰もが知るクリスマスストーリーの裏側には、どんなエピソードが潜んでいるのか、身を乗り出す。『Merry Christmas!/ロンドンに奇跡を起こした男』はしかし、所謂伝記映画とは趣を異にする。

 コスチューム物とは言っても堅苦しさはなく、細かいことを気にせずスピーディにどんどん先を急ぐ。ディケンズは分かり易い大衆作家的位置づけで、周辺人物の心象は読み解き易く、関係性もすっきりはっきり。別にディケンズの話だと銘打たなくても良いのではないかとすら思う。

 そう、ここには「クリスマス・キャロル」が出来上がるまで、そのミステリーに満ち満ちた部分をイマジネーションを持って広げた世界観が広がるのだ。したがってエベニーザー・スクルージが実在の人物のごとくディケンズに語り掛けるし、ディケンズは度々幼少時の辛い記憶に入り込む。それが「クリスマス・キャロル」の血となり肉となる。

 すると、「クリスマス・キャロル」を語らなくともクリスマスの精神である「人に優しさを」「人に慈悲の心を」という普遍的な眼差しが立ち上がる。それはあたかも、もうひとつの「クリスマス・キャロル」だ。折り合いの悪い父親が、孤児だった過去を持つメイドが、金と時間から切り離せない出版関係者が、いつもサポートしてくれる友人が、いちばんの理解者である妻が、愛に溢れた子どもたちが、そしてディケンズ自身が、現実に傷つき、けれど人に助けられる。その温かさに賭けたフィールグッド・ムービーと見るのが正しい。

 もちろんディケンズは生みの苦しみに襲われる。いつも時代も作家は辛いよ。演じるダン・スティーヴンスは当時のヘアスタイルが見事に似合わないのは苦しいものの、そのドタバタを暗過ぎることなく軽快に演じて好もしい。スクルージに扮したクリストファー・プラマーとも堂々渡り合い、生みの苦しみの先にある生みの歓びも手に入れる。

 ただこの映画、本当に「クリスマス・キャロル」ありきの作りになっているため、万が一、本家を知らなかった場合、小ネタを観客自ら掬い上げるのは不可能ではないか。スクルージ、ゴースト、「Bah, humbug!」…この三つにピンと来なかったなら、クリスマスのちょっと良い話で終わる危険大、だ。





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