くるみ割り人形と秘密の王国

くるみ割り人形と秘密の王国 “The Nutcracker and the Four Realms”

監督:ラッセ・ハルストレム、ジョー・ジョンストン

出演:マッケンジー・フォイ、キーラ・ナイトレイ、エウヘニオ・デルベス、
   マシュー・マクファディン、リチャード・E・グラント、
   ジェイデン・フォウォラ=ナイト、ミスティ・コープランド、
   セルゲイ・ポルーニン、ヘレン・ミレン、モーガン・フリーマン

評価:★




 ピョートル・チャイコフスキーによる「くるみ割り人形」と言ったら、聴いたことのない者がいないと思われる有名バレエ音楽だ。『くるみ割り人形と秘密の王国』はそれをベースにイマジネーションを広げた物語だという。痛感させられるのは映画は結局、生身の肉体を活かしてこその芸術だということだ。昨今のアクション映画でため息と共に呟くことの多い真理だけれど、まさかディズニーファンタジーで同じことを思うとは…。いちばんの見ものは、エンドクレジットの本物のバレエだもの。

 一匹のネズミに導かれて玩具たちが生を授けられた世界に迷い込む少女の冒険。これは「不思議の国のアリス」「ナルニア国物語」、もっと言うなら「ハリー・ポッター」シリーズあたりとも同じ物語構造だ。つまり目新しくはない。ならばそれを肉づけするヴィジュアルとアクションで勝負したい。ところが、これがちっとも胸踊らない。

 ヴィジュアルは言わば、センスのないパティシエによるクリスマスケーキだ。ケーキ特有の生クリームの白を基調にした美しい色合いを丸ごと放棄、色は派手であればあるほど良いという作法。結果絵の具をぶちまけたような寝ぼけた色が次から次へ。少女の着るドレスなんて、田舎町のプロムパーティ仕様みたいなチープさだ(戦闘場面に着用する赤とゴールド、紺を組み合わせた兵隊風コスチュームは可愛い)。

 美術はセットであることが丸分かりの重みのないもので統一。大掛かりな仕掛けが施されればされるほど、学芸会の気配が立ち込める。下手くそなパティシエはクリームの上品な味を信じられず、甘い砂糖菓子をこれでもかと飾り立てる。それと全く同じ悲劇が見られる。

 アクションは玩具の兵隊(多くはブリキ)との対決で占められる。これが実に退屈。ブリキの得意技は一糸乱れぬ整列行進で、意外性ある動きを見せることが全くない。よって、それを相手にする俳優たちが、すっとこどっこい、情けない振りでアクションをこなしていることが透けてしまう。ヘレン・ミレンなんて、鞭を振り回して得意気なのが、いっそ哀れ。名女優があぁぁぁ…。

 全てが子ども騙しの世界の中、いちばん罪深きことは、マッケンジー・フォイ演じるプリンセスとジェイデン・フォウォラ=ナイト演じるくるみ割り人形の間に科学反応が見られないことだ。主従関係以上のものが芽生えない味気なさは、そのまま熱を帯びないクライマックスへと繋がっていく。魔法を信じられない。でもそれって「夢」の世界で最も大切なことじゃないか。ねぇ、ディズニーさんよ。





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