ファーザー・フィギュア

ファーザー・フィギュア “Father Figures”

監督:ローレンス・シャー

出演:エド・ヘルムズ、オーウェン・ウィルソン、J・K・シモンズ、
   テリー・ブラッドショー、ヴィング・レイムス、ハリー・シェアラー、
   カット・ウィリアムス、クリストファー・ウォーケン、グレン・クローズ

評価:★★




 主人公の中年男ふたりは双子の兄弟だ。結婚生活も子どもとの仲も上手く行かない生真面目な兄がエド・ヘルムズ。楽天家でいつも陽気に振る舞う弟をオーウェン・ウィルソン。この組み合わせだとウィルソンの暴走にヘルムズが振り回されそうなものだけれど、どっこい、どちらかと言うと周囲に迷惑をかけるのはヘルムズの方だ。ただし、基本は控えめなヘルムズ、暴走してもたいしたドタバタは起こらない。そう、『ファーザー・フィギュア』は中途半端な映画だ。

 話は死んだ父親が生きていることを知った兄弟が、その行方を追う物語。飛行機や自動車に乗ってアメリカ各地を飛び回る。父親候補が次々登場。さあ、本物は誰だ?…なんて、これは「マンマ・ミーア!」(08年)ではない。オッサンふたりが父親探しに懸命になる様、聞いただけで楽しくなさそうで、そして案の定楽しくないのだ。

 もちろん父親は誰かという謎が話の真ん中に通ってはいるのだけれど、作り手が旅の意義を別に見つけているのは明白だ。普段は離れて暮らす兄弟がその絆を確かめるというのがひとつ。そして、「クソみたいな人生を人のせいにして生きる」兄が人生の美しさに気づくというのがもうひとつ。つまりは兄弟の自分探しの旅にもなっていて、散々繰り返してきたけれど再度言う、自分探しは人様に見せるものではない、勝手にやっててくれ!

 父親候補や旅の道中で出会う人物が、やっぱりか、変人揃いで、見え見えな作為がかえって退屈を誘うというどうにもならない展開。「尻の締まりが最高に良かった」がいちばんのセリフであるテリー・ブラッドショー。対抗するように「彼女はイチモツの望みが分かっていた」とほざくヴィング・レイムス。銃を振り回して大喜びのJ・K・シモンズ。縛られて車に放り込まれても文句を言わないカット・ウィリアムス。背中を麻酔銃で撃たれてご機嫌のクリストファー・ウォーケン。彼らに人間味は露ほども与えられない。

 途中、線路の真ん中で車ごと立ち往生する場面がある。それに気づかない兄弟は喧嘩を始めて、さあ、どうなる?…という一応の見せ場だ。ここでちっともサスペンスや笑いが弾けないあたり、アプローチを見誤っている証拠。人情コメディの作りを目指しながら、心の揺れを表現する際、特異な状況説明に頼り、他の技を用意しないのが敗因だ。

 旅の終着点には感傷も待っている。「ママありがとう」なんて勘違い甚だしい方向にも突き進む。兄弟は充実した旅だったと自己満足に浸る。何故かハワイの景色へと放り込まれた兄弟(と家族)を見て思うのは、こんな風に現実の人生が単純だったらどんなに幸せだろう…なんて皮肉なり。





ブログパーツ

スポンサーサイト



テーマ : 映画感想
ジャンル : 映画

プロフィール

Author:Yoshi
Planet Board(掲示板)

旧FILM PLANET

OSCAR PLANET




since April 4, 2000

バナー
FILM PLANET バナー

人気ページ<月別>
検索フォーム
最新記事
カテゴリ
メールフォーム

名前:
メール:
件名:
本文:

月別アーカイブ
最新トラックバック
QRコード
QRコード
RSSリンクの表示
リンク
ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

Friends
福☆こもろ