ディザスター・アーティスト

ディザスター・アーティスト “The Disaster Artist”

監督・出演:ジェームズ・フランコ

出演:デイヴ・フランコ、セス・ローゲン、アリ・グレイナー、
   アリソン・ブリー、ジャッキー・ウィーヴァー、ポール・シェアー、
   ザック・エフロン、ジョシュ・ハッチャーソン、
   ジューン・ダイアン・ラファエル、ミーガン・ムラリー、
   ジェイソン・マンツォーカス、アンドリュー・サンティノ、
   ネイサン・フィールダー、シャロン・ストーン、メラニー・グリフィス、
   ハンニバル・バレス、ボブ・オデンカーク、ゾーイ・ドゥイッチ、
   ケヴィン・スミス、キーガン=マイケル・キー、J・J・エイブラムス、
   アダム・スコット、ダニー・マクブライド、クリステン・ベル、
   リジー・キャプラン、ザック・ブラフ、
   ブライアン・クランストン、ジャド・アパトウ

評価:★★★★




 トミー・ウィソーという名前には聞き覚えがない。彼が製作・監督・主演・脚本を務めた「The Room」(03年)についても聞いたことがない。不覚と言える。歴史的失敗作と言われるからではない。「The Room」製作現場を描く『ディザスター・アーティスト』に浮かび上がる映画の魔法が魅力的で堪らないからだ。エド・ウッドとの比較もできるかもしれない。ただ、ウィソーはウッドと較べたとき、映画愛よりも人間愛を強く感じさせる人物ではないか。

 とにかくウィソーのキャラクターが強烈だ。不機嫌を隠さない表情。肩よりも長い濡れた髪。サングラス。聞き取りが難しい訛り。ないに等しい運動神経。見るからにナルシシストで、ヴァンパイア風で、宗教家をも思わせる。ジェームズ・フランコはウィソーをしかし、単なる変人とは描かない。彼が人を怒らせながらも愛される不可思議な魅力を掴まえる。

 何故か金を持っているのも笑わせるウィソーが、まず同じ俳優になるという夢を持つ青年グレッグ・セステロの心を捉え、同じ映画界で苦闘する仲間たちを引き寄せ、どんなトラブルに見舞われても諦めず、駄作であっても強引であっても一本の映画を完成させる様。周りが見えなくなるその振る舞いは痛々しく見えてもおかしくないのに、むしろ輝いて見える幸せ。

 それを夢の力と呼ぶのは簡単だ。ウィソーがエステロに語り掛ける「ベストを尽くして決して諦めないことだ」なんて拍子抜けするほど真っ当な言葉が胸を打つ。約束を交わした男たちが指切りをする様子が微笑ましい。彼らがリック・アストリーを流してドライヴするの愛らしさよ。何故こんなにストレートな表現の数々が嘘臭く映らないかと言ったら、彼ら(とりわけウィソー)が纏う、人から理解されないことに起因する圧倒的孤独に説得力がもたらされているからだ。フランコが決して視線を外さないのは、そこのところだ。

 ウィソーとエステロは赤の他人だけれど、夢で繋がった精神的兄弟のようなところがある。全くタイプの違うふたりでも、夢の部分が重なることでコインの裏表のような関係が生まれる。さらに飛躍的な考えが許されるなら、ウィソーは夢に揉まれ続けるエステロが生み出した、演じることにとり憑かれた純粋な幻想と読むこともできようか。それゆえウィソーにジェームズ、エステロにデイヴ…とフランコ兄弟が扮したのも腑に落ちる。

 忘れられない場面は多々ある。ウィソーがクランクイン初日に緊張から失敗のループにハマる場面(遂に成功したときの現場の空気に大笑い)。リアリティを求めるウィソーが素っ裸でベッドシーンに挑む場面(意外な長回しで人物の出し入れが快感)。プレミアで観客に笑われて傷つくウィソーが復活する場面(救うのがエステロであることについホロリ)。いずれも人間愛が満ち溢れる。高揚感に包まれながら、映画で最も大切なことは何か、つい思い巡らす。





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