スノーマン 雪闇の殺人鬼

スノーマン 雪闇の殺人鬼 “The Snowman”

監督:トーマス・アルフレッドソン

出演:マイケル・ファスベンダー、レベッカ・ファーガソン、
   シャルロット・ゲンズブール、クロエ・セヴィニー、トビー・ジョーンズ、
   ソフィア・ヘリン、ヴァル・キルマー、J・K・シモンズ

評価:★★




 ノルウェーのオスロが舞台となる。当然雪景色がたっぷり登場。…と言うか、雪以外存在感を放つものが見当たらない(見えない)。吐く息まで凍りそうな世界には、人間の悪しき何かを現実のものにする、魔力の気配が漂う。そしてこんな背景に、美しい男と女は画になるものだ。マイケル・ファスベンダーとレベッカ・ファーガソンがリードする。勝算はある。

 …はずだった。実際、『スノーマン 雪闇の殺人鬼』のオープニングはなかなか期待させる。寒々とした小屋、男が出題する歴史の問題に少年が答える場面。冷淡な目をした男の問い掛けに少年が間違うと、矢よりも早く暴力が飛んでくる。ただし、子どもにではない。傍らに座る少年の母へと。男は言う。お前の育て方が悪いんだ。意識的にされた矢継ぎ早のカット割り。早くも人間の業が凍っていく瞬間を目撃する。

 その後の母と少年の運命を含め、目を背けたくなる猟奇的な事件が続発する。狙われるのは、結婚生活が上手く行かない母親たち。彼女たちには子どもがいて、けれど子どもも無条件の幸せからは見放されている。母親たちには「身持ちの悪い女」と形容される。サスペンスの筋としてはオーソドックスでも、身を乗り出したくなる吸引力は具えている。問題はそこからだ。

 トーマス・アルフレッドソンが監督だというのに、物語や登場人物のあからさまな説明不足が目立ち、かつ編集が極めてラフ、話の流れを遮断する語り口が連発されるのだ。同時刻、ふたつの場所で起こる出来事を描く件が何カ所かあり、けれどいずれもその意図が良く分からないまま混乱を招くのが分かり易い例だ。潜入捜査とラヴシーンと思しきものが交互に映されるところなど、素人みたいで観てられない。政治家や医者が話に絡みながら、ほとんど話の力にならないのもどういうつもりか。雪だるまは単なるオブジェと化す。

 ファスベンダーが演じるのはハリー・ホーレという名の警部だ。シリーズ化されるほど人気の小説が原作らしいのに、その特徴がアルコール依存症(とは言え、ほとんど強調されない)気味ということぐらいしかないのに驚愕。敢えてストーリーに貢献する要素があるとするなら、子持ち女との別れを引きずっていることぐらいだろうか。ファスベンダーの持ち腐れ。

 次々浮上する欠点は、それぞれ映画の無個性に繋がるものばかりで、…となると必然的に目に残るのは残虐描写の数々ということになる。指が首がチョッキン切られ、雪が血に染まり、顔が跡形もなく吹き飛んでいく。そこにある種の美を感じさせるのがアフルレッドソンらしいなどと褒めるべきではない。犯人の動機にも説得力を持たせられないため、愉快犯の気まぐれに付き合わされている気分だけが募っていく。





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